国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

BMW M8 Competition

BMWのM8コンペティションは、なんと625psを発生している。そのパワーは、27年前に登場した伝説的なマクラーレンF1と同様のパワーだ。先に結論を言ってしまえば、M8コンペティション(以下、M8)はBMWが今まで出した中で最もパワフルな車両になる。

ドレスアップした8シリーズのボディを被ったM5コンペティションとも言えるM8。その外観は、標準仕様の「8-er」という8シリーズよりスリークで迫力満点だ。ダブルスリットのBMWらしいキドニーグリルやMエンブレムの基部、ミラー、リアスポイラーなど、ブラックで仕上がった前後辺りがコンペティションの味付けになっている。

M8は、最も力強いM車なのに、外観は筋肉質ながら、その出来栄えはさりげない格好よさが漂う。俳優に例えるなら、昔のシュワちゃんの盛り盛りの筋肉姿ではなく、どっちかというと、ジェイソン・ステイサムの上半身みたいな仕上がりだろう。

心臓部は、M5でも搭載されている4.4リッターのツインターボV8エンジンで、BMWが今まで作ってきた中で最も力強く、M5より8ps高い。先に書いたように、625psを発揮しているし、トルクは750Nmだ。

ドライブトレーンはM車のxDrive、つまり4輪駆動。「M」のバッジ付きモデルならではの制御として、極力後輪側を駆動の主体としており、必要に応じて前輪に駆動を配分する。また、後輪だけで走る場合、その強烈な625psを的確に左右に配分する「アクティブMディファレンシャル」もついている。M8の加速性は、2000回転からじわじわとパワーが溢れ、とにかく圧倒的だ。

組み合わされるトランスミッションはZF製の8段ATをベースとする「Mステップトロニック」だが、変速は思っていたほど素早くない。でも、「BMWのM車の頂点に立つこのM8は、楽に長距離クルージングができる穏やかなGTカーでなければならない」という同社の意図を汲めば、このシフトスケジュールは許せる。

走行モードはROAD、SPORT、TRACKと、「Mモード」が用意されている。トラックに入れて「Mモード」をセレクトすると、100%の駆動を後輪に送り込み、同時に、トラクション・コントロールなどの全機能が無効になる。すると突然、ドライブフィールが変わる。まるで、ジキル&ハイドみたいな変化だ。

文=ピーター・ライオン

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