今永昇太、26歳。プロ4年目を支えた思考「居心地の良さを感じたら、成長が止まっている証拠」

横浜DeNAベイスターズの今永昇太


この考え方は高校、大学、そしてプロでも一貫して持ち続けた。高校時代、周りの投手の最高球速が140kmを超えない中、今永は140kmを超えるスピードをマーク。「自分ってすごい投手なのではないか」と天狗になっていたら、監督から「周りの人はそういった態度を見ているものだから、常に周りから見られている意識を持ちなさい」と言われたという。

また、開幕投手に指名された2019年シーズン。開幕前、当時1軍投手コーチだった三浦大輔から「開幕投手を務めるということはお前が打たれている時も、抑えている時も、選手もファンもお前の背中を見ているから。それだけはしっかり意識してやりなさい」と声をかけられた。この“見られている意識”が投手生活を変えた。

“変化”が成長において最も大事


居心地の悪い環境に飛び込んで練習を重ね、見られている意識を持って日々を送る。こうした行動の結果、自己ワーストの成績から一転、4年目のシーズンは13勝を記録するなど自己最高の成績を収めることにつながっていった。

「この4年間、あっという間でした。大学の4年間と比べたら3倍くらい早かったですね。いろんな苦労もありましたが、4年目にしてようやく自分の幹ができた。まだ完成していないですけど、何かあったら、いつでも立ち返れる。そんな場所ができたと思います。ただ、今年の成績で居心地よくなってはいけない。現状維持は衰退なので、もっともっとレベルアップしていかないといけない、と思います」

現状の自分よりもレベルアップしていくにあたって、周りからのアドバイスも重要になる。特に期待される人材であればあるほど、多くの人がアドバイスをくれる。そうしたアドバイスの内容は人によって異なってくるが、今永はどう受け止めているのか。

「自分の中で良いと思うこと、あまり良くないと思うことも、まずは1回やってみる。その後にどうなのか、を考える。アドバイスしてくれる人の立場になったとき、壁をつくって突き放すのが最も簡単だと思うんです。ただ、どんなアドバイスも自分の中で取り入れてみて、それで自分がどう変化していくか。人間が成長していく過程において“変化”が一番大事だと思うので、まずは何事も受け入れてみるようにしています」

競争が激しい環境を勝ち抜いていく──これはアスリートであっても、ビジネスパーソンでも同じ。今永はどのような生存戦略を持っているのか。彼の口から語られたのは「圧倒的な強みを持つ」ということだった。


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文=新國翔大 写真=小田駿一

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