フォーブス ジャパン編集部 エディター


社会人であれば、海外留学に行くようなものだ。南半球にあるオーストラリアであれば、シーズンオフでも野球ができる──ケガや初海外生活といったリスクも生じる中、球団が積極的に海外派遣の機会を設けることはプロ野球界でも異例であるが、今永はこのチャンスを見逃さなかった。自ら手を挙げ、オーストラリアに行くことを決めた。

「言葉も通じなければ、食文化も異なる。時間をかけてレストランを探したり、時には自炊したりしなければいけないわけです。日本で生まれ育ってきた自分にしてみたら、オーストラリアは居心地の悪い場所。そういったところで数カ月間過ごせたことが、いい方向につながったんじゃないかな、と思います」

ABLで今永は6試合に登板。4勝0敗、防御率0.51と圧倒的な成績を残した。このことについて、今永は「何か自分の技術が向上したということではなく、考え方が変わった」と前置きした上で、自身の変化についてこう語る。

「改めて自分の成績を振り返ってみると、毎年前半戦の成績が良くないんですよね。開幕からベストパフォーマンスを発揮するにはどうすればいいか。自分の中で色々考えてみて、きちんと12月から準備して、1月、2月は微調整を重ねてみよう。そんな考えのもと、オーストラリアの暖かい気候の中で体を動かせたことが、自分にはフィットしたんだと思います」

常に周りから見られている意識を持ちなさい

どんなビジネスパーソンでも思ったようにパフォーマンスが発揮できない時期はやってくる。不調から早く脱出するにあたって大事なのは「自分を客観視し、課題を早く見つける」ことだ。ファンの間では有名な話だが、今永は“投げる哲学者”とも呼ばれており、登板後はいつも自分のことを俯瞰し、課題点を口にする。今永によれば、それは「小さい頃からの癖」だという。

「自分には兄と姉がいて、末っ子として育ちました。その影響からか、兄が父親や学校の先生から怒られている姿を見て、自分はこうしたら怒られずに済むな、といったことを意識していて。言い方を変えれば、気にしいなんですよね。常に見られてる意識を持っているからこそ、自分のことも俯瞰して見ることができます」


(c)YDB

文=新國翔大 写真=小田駿一

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