フォーブス ジャパン編集部 エディター

横浜DeNAベイスターズの今永昇太

入社3年目──多くの社会人にとって、今後のキャリアを考える際のターニングポイントと言っていいだろう。1年目で仕事を覚え、2年目で仕事に慣れ、そして迎える3年目。周囲からの期待も高まり、成果を出すことにこだわる。この男もそうだった。

横浜DeNAベイスターズに所属する今永昇太、26歳。日本代表にも選ばれるなど、球界屈指の左腕のひとりだ。1年目で8勝、2年目で11勝を記録。「横浜DeNAベイスターズのエースになるのではないか……」。そんな声も聞かれる中で、迎えた3年目のシーズン。蓋を開けてみれば、今永にとって自己最低のシーズンとなった。

左肩の違和感で開幕に出遅れ、4月末に1軍に合流。しかし、その後も思うような成績を残せず、結果的には3勝11敗という成績でシーズンを終えた。

順調にキャリアの階段を登る中で味わった、挫折。このまま終わってしまうのか……。今永は一転、今後のキャリアを左右するターニングポイントに立たされた。

そんな彼がとった行動は居心地の悪さを求め、そして客観的に自分を捉えるというものだった──。そうした行動の成果もあってか、4年目のシーズンは13勝と自己最高の成績をマーク。見事に復活を果たした。

アスリートとビジネスパーソン。立場は異なれど、仕事のキャリアを歩む上では同じ存在。アスリートの思考法がビジネスの現場で役立つことも、きっとあるはずだ。Forbes JAPANでは横浜DeNAベイスターズの全面協力を得て、選手の思考法に迫る連載を開始する。1回目に登場するのは今永昇太。不調から復活を果たした、彼の思考に迫っていく。


(c)YDB

居心地が良くなったら、そこで成長は止まる

思うような成績を残せないまま、シーズンが終了。シーズンオフの契約更改で、今永は“減俸”という現実を突きつけられた。結果だけが物を言う世界。「何かを変えなければいけない……」という危機感が、今永を“異国の地”へと向かわせた。

「先輩の藤岡好明さんに食事に連れて行っていただいた際に、藤岡さんから『今の環境を居心地が良いと感じたら、そこで成長止まる』と言われて。その言葉を聞いたときにハッとしたんです。2年間、このチームでプレーし順調に数字を残す中で、きっと心のどこかでチーム内での自分の立ち位置に居心地がいいと思っていたんでしょうね。そうした慢心が3年目のような成績を招いてしまったと思うんです」

今永が不調に陥っている2018年の夏頃、横浜DeNAベイスターズはオーストラリアン・ベースボールリーグ(以下、ABL)のキャンベラ・キャバルリーと戦略的パートナーシップを締結。同球団に選手などを派遣することが可能となった。

文=新國翔大 写真=小田駿一

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