プラスチック製ストローの使用中止や、持ち帰り容器の発泡スチロール製から紙製への切り替え、牛乳ではない新たな種類のミルクの使用、植物由来の肉の導入などがその例だ。
スターバックスは1月21日、こうした取り組みにおいて2030年までの実現を目指す具体的な目標を公表した。まず、自社の事業とサプライチェーンにおいて排出される二酸化炭素の量を半減するほか、事業において使用する水の量を半減させ、コーヒー豆の生産でも節水などの努力を推進する。また、店舗が出す廃棄物のうち、埋め立て処理される量を50%削減する方針だ。
顧客にとってより興味深いのは、同社が世界中にある約2万8000店舗で実施を計画していることだ。それは、選択肢に植物由来の食品を増やし、「メニューをより環境に優しいものにする」こと。つまり、牛乳と肉に代わる食品を使ったメニューが増えることになる。同社はさらに、容器を使い捨てから再利用可能なものに変更するほか、「革新的かつ再生可能な農業」に投資するという。
スターバックスはこれらに加え、「より環境に優しい店舗の開発」を目指す方針を示している。店舗の運営方法を再考し、すでに中国のほかニューヨークとカナダ・トロントに「ピックアップ専門」の店舗をオープンした。
一方、プラスチックの使用中止や廃棄物の削減など持続可能性に関する取り組みにおいては、事業を行う各国政府の政策に基づき、計画を立てる必要がある。カナダは2022年、使い捨てプラスチックの使用を禁止する方針だ。詳細はまだ明らかにされていないが、同国で事業を行う企業は、いずれにしてもその関連規則に従わなければならない。
また、欧州連合も2021年に使い捨てプラスチックの使用を禁止する予定。スターバックスの将来にとって非常に重要な市場である中国も先ごろ、主要都市では年内に、非生分解性のビニール袋の使用を禁止すると発表。レストランやホテルにも、使い捨てプラスチックの使用量削減を命じている。
「もう待っていられない」
環境保護団体グリーンピースの活動家は先ごろ発表した声明で、「スターバックスは容器を使い捨てから再利用可能なものに変える必要がある」と指摘。「私たちには、10年も待っていられる余裕はない」と訴えた。
スイスのダボスで1月21日に開幕した世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)では、10代の環境活動家グレタ・トゥンベリが、「国や企業が気候変動に関して取り始めた行動は、まだ“始まりに過ぎない”」と主張した。
昨年米タイム誌の「今年の人」にも選ばれたトゥンベリは、化石燃料への投資や石油産業への政府の補助金拠出について、「2050年や2030年ではありません。2021年でもありません。私たちはそうした行動を、今すぐにやめてもらいたいのです」と訴えている。
新たな目標の実現に向けて努力を加速させる必要があるのは、スターバックスも同じということだろう。