ウィーワークが上場を見送ったことについてソロモンは、「誰もが待ち望んでいた結果にはならなかったが、上場プロセスが正常に機能していることが証明された」と述べた。
ゴールドマン・サックスはウィーワークのIPO計画を主導したが、コワーキング事業が巨額の損失を生み出す一方、企業価値のみが異様に膨れ上がり、乱れたガバナンスが指摘される中で、上場計画は頓挫した。
ソロモンはまた、ここ数年で非上場企業と上場企業の企業価値の格差が広がったことを指摘し、その原因が低金利にあると述べた。
「これほどの低金利の状況においては、投資にあてる資金は事実上、無料で調達可能だ。それがスタートアップの過大評価を生み出している。投資家は企業が描く成長プランだけを根拠に資金を投じている」と彼は指摘した。
「今から18カ月ほど前と現在では、状況が異なっている。我々は以前よりも慎重に、企業の収益性を吟味する必要がある」と彼は続けた。
ゴールドマン・サックスは昨年10月、ウィーワークのIPO計画の中止により、8000万ドルの損失を被ったと述べていた。
2019年はスタートアップのIPOが相次ぐ年となったが、ウーバーやリフトなどの有力企業は上場後に冴えない株価パフォーマンスを示し、投資家の間では失望感が広がった。
投資家からの非難の高まりを受けIPO計画を撤回したウィーワークは、数カ月で400億ドル以上の評価額を失った。巨額の損失により経営危機に陥ったウィーワークは最終的に、筆頭株主のソフトバンクから100億ドルの支援を受け、経営権を譲渡した。
再起を図るウィーワークはここ数カ月で人員削減を進め、コスト削減により苦境から抜け出そうとしている。