そして同社はこのほど、カナダのトロントに来月、北米で2店舗目となるこの新タイプの店をオープンする予定であることを明らかにした。ユニオン駅から数ブロック離れた金融街の一角で営業を開始する。
これらの店舗は、新たなコンセプト「スターバックス ナウ」のもとで展開される。同社は2019年7月から北京で試験営業を行っており、同国内では今年、その他の都市でも新店舗を開設していく計画だ(北米でも同様の計画を立てているとみられる)。
新店舗の利用方法はシンプルだ。顧客はまずスターバックスのモバイルアプリを開き、商品をピックアップする店舗を選択。注文して、店で受け取るだけ。店内に座席はなく、カウンターで飲み物を注文することはできない。ただ、注文内容と違っていた場合には、作り直しなどに応じる。
新スタイルは戦略的アプローチの一環
スターバックスは、カナダでは国内で最も知名度の高いカフェチェーン「ティムホートンズ」と、米国では「ダンキン」との競争に直面している。米調査会社プレイサー・ドット・エーアイ(Placer.ai)のデータによれば、とくに米国でダンキンと競い合っているのは、顧客としての富裕層の取り込みだ。
小売店の利用客数などを調査しているプレイサーによれば、年収7万5000~9万9000ドルの層ではダンキンの方が、わずかながら人気が高い。一方、年収10万ドル以上の層ではスターバックスが優位につけている。ただ、その差はごくわずかだ(好きなコーヒーチェーンがスターバックスという人は20.3%、ダンキンという人は19.5%)。
また、都市ごとの特徴もある。たとえばニューヨーク市では、スターバックスとダンキンの顧客に占める年収10万ドル以上の人の割合は、それぞれ29.2%、21.8%。一方、フロリダ州で同じ比較をした場合、スターバックスはダンキンにわずか3%の差をつけているにすぎない。
プレイサーのアナリストは、スターバックスはこうした都市や地域の特徴をよく理解した上で、マーケティング戦略を立てていると指摘。「これらはまさに、ターゲットとする顧客層にリーチするための戦略的アプローチの方法を修得したブランドの特徴だ」と述べている。