ZARA創業者であり、フォーブスの世界長者番付の常連であるアマンシオ・オルテガとは、一体どのような人物なのだろうか。
ZARA創業者、アマンシオ・オルテガ
アマンシオは1936年、スペインのレオン生まれ。4人兄弟の末っ子として育った。父親は鉄道関係の仕事をしており、決して裕福な暮らしではなかった。
13歳からシャツメーカーで下働きをした後、63年に当時の妻、故ロザリア・メラと共に起業。当初はバスローブやランジェリーを販売していた。
この経験を元に、75年にZARAの1号店をスペインのア・コルーニャ市にオープンさせた。短期間で新商品を低価格で販売する戦略がヒットし、ZARAは世界的ブランドへと成長した。19年、フォーブスの世界長者番付でアマンシオは6位にランクイン。保有資産は627億ドルにのぼる。
価格を抑え、流行を逃さないZARA
ZARAが成功を収めた一つの理由として、価格を圧倒的に抑えた商品展開がある。企画デザインから製造、販売までを自社で一括して管理、卸売業者を介さないことで無駄なコストを抑えている。
また、この構造は約2週間という圧倒的に短いスパンでの商品の入れ替えにも寄与している。商品がすぐに入れ替わることで、流行を捉えたファッション性の高い服を販売することができる。いつ訪れてもデザイン性の高い商品が低価格で手に入ることで、幅広い年齢層の顧客を魅了し続けている。
ZARAは着ない？シンプルな私生活
アマンシオの私生活は実にシンプルで質素。ZARAのように流行を追い求めた服ではなく、ブルーのブレザーに白いシャツ、グレーのパンツというシンプルなスタイルが定番だ。
11年、75歳でパブロ・イスラにCEOを引き継ぐまでは、従業員とカフェテリアで昼食をとり、一緒に工場で働く時間を好んでいた。常に顧客や従業員の視点を忘れないことが、彼の長年の成功の秘訣なのかもしれない。
メディアにはほとんど露出しない
アマンシオはインタビューを受けたことがほとんどない。ニューヨーク・タイムズの記者がZARAを取材した際、アマンシオへのインタビューは叶わなかったものの、工場内で撮影をしていると、従業員の中に混じって一緒に仕事をしていたアマンシオを偶然見つけたという。
数少ないインタビューを受けた際も、自分1人が会社を作ったのではなく、多くの社員が貢献していることを強調していた。
