経済・社会

2020.01.26 10:00

トランプの楽観論 vs グレタ・トゥンベリの訴え。ダボス会議の6つの議論を振り返る

ダボスで楽観的観測について演説する、ドナルド・トランプ米大統領


4. 中国がグローバル社会の協調を主張
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米中貿易戦争停戦中の両国。トランプ米大統領の前向きな言葉を受け、中国国務院副総理、韓正氏は、グローバルな連携の重要性を強調しました。



韓正副総理は、米中両国は包摂的で開かれた世界経済を共に構築することにより、難問や課題を解決し、経済グローバリゼーションへの道を今後も進んでいくべきだと述べました。同副総理は、「世界の潮流に反する一国主義や保護主義が行き着く先はどこにもありません。グローバルな成長や貿易の基盤を弱め、全員の利益が損なわれるだけです」と表明しました。
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5. 難題解決策を幅広く検討する新プラットホームを公表

世界経済フォーラムは「アップリンク(UpLink)」を公表しました。来月から始動するアップリンクは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、起業家やさまざまなコミュニティ、その他関係者および個人など、幅広い参加を実現し、開発をめぐる世界最大の課題の解決に必要な知識やアイデア、行動を独発する、クラウド型デジタル・エンゲージメント・プラットホームです。

当フォーラムの創設者・会長であるクラウス・シュワブは、次のように説明しています。「イニシアティブは、専門に精通しているビジネスリーダーや政府からだけの構想であってはなりません。フォーラムは、世間一般の人々に関与しなければなりません。人々にはアイデアがあります。当フォーラムは人々に、そのアイデアを行動に移す手段を提供しなければなりません」

インドネシアのバリ島でプラスチックごみをなくすため、レジ袋廃止に取り組むNGO「バイバイ・プラスチックバッグ」を創始したメラティ・ワイゼン氏は、「アップリンクは私たちのような若者にプラットホームを提供しており、それは、若者のアイデアが真剣に受け止められていることを確かにするためだ」と語りました。



6. 「他人が私をハッキングできる時代」

テクノロジーを凌駕するAIのような「激烈な競争」のセッションでは、歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏が、私たちは危険で不確実な未来に向かっていると警告しました。



「危険な未来とは、ある人が人々のデータを潤沢に集めると、人々がその人について知っている以上に、その人が人々のことに詳しくなるということです。現在は、企業や政府が数百万、数億人をハッキングできますが、これは私の病歴や個人的な弱みを知り得る時代に来ていることを意味するのでしょうか。私の身体、脳、生活をハッキングできるのです。私が自分自身を知っている以上に、ある人が私のことよく知っているという事態になり得るのです」

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)


連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>

文=Ceri Parker, Commissioning Editor, Agenda, World Economic Forum

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