この見出しがインターネット上を騒がせたのは1月14日のこと。プロサッカー選手の本田圭佑が自身のツイッターで宣言した内容はサッカーファンのみならず、日本中に大きな衝撃を与えた。
“2020年、本田圭佑、サッカークラブをみんなと一緒に創り上げるためゼロから立ち上げます。クラブ名「One Tokyo」運営は2週間前にtwitterで出会った大学生の奥山くん。選手もゼロからなので1月24日にトライアウトをします。勝利にこだわる選手に集まって欲しいです。”
本田がサッカークラブの経営に携わるのは初めてではない。過去にオーストリアのSVホルンを筆頭に、カンボジアのソルティーロ・アンコールFC、米国のオレンジカウンティSC、ウガンダのブライトスターズFCといったサッカークラブの経営に参画した経験を持つ。
が、ゼロからサッカークラブを立ち上げるのは前代未聞のことだ。2019年12月23日に所属していたオランダ1部リーグに所属するフィテッセを退団したばかりの本田だが、なぜサッカークラブを立ち上げることにしたのか。また運営責任者にツイッターで出会った大学生を抜擢した理由は何か──。
「One Tokyo」代表者、NowDo取締役副社長の鈴木良介と、ツイッターで人生を変えた大学生であり、運営責任者の奥山大の2人に“リアルサカつく”プロジェクトの舞台裏について話を聞いた。
本田が憧れ続けた夢が、ついに実現
──まず、サッカークラブ「One Tokyo」を立ち上げることにした経緯について教えてください。
鈴木:本田が「日本のサッカー界に対して何かしたい」と考えるようになったのは2010年に南アフリカで開催されたFIFAワールドカップがきっかけです。きっと南アフリカで夢中になってサッカーを楽しむ子どもたちの姿を目にし、色々思うことがあったんだと思います。それで日本に帰国後、「サッカーを通じて、夢を持つことの大切さを伝えたい」ということで2012年に立ち上げたのが、サッカースクール「ソルティーロ」です。
僕は同スクールの立ち上げに参画し、この8年間、本田と二人三脚でさまざまなことに取り組んできました。今回、サッカークラブを新たに立ち上げる発表を聞いて驚いた人もいると思いますが、決して思いつきで始めることではなくて……。昔から本田は「日本発で世界に誇れるプロサッカークラブをつくりたい」と話していたんです。
そうした思いもあって、2015年にオーストラリアのSVホルンの経営に参画したわけですが結果的には“失敗”でした。昨シーズンで現場の経営からは離脱しています。彼も公式サイトで失敗の理由を説明していますが、日本人の経営陣を中心に組織を作ったことも失敗でしたし、何より経営とサポーターとの間に想いのギャップが生まれていたんですよね。