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フォーブス ジャパン ウェブ編集部 エディター

Getty Images

特別背任容疑で逮捕された日産自動車カルロス・ゴーン前会長の「逃亡」が世間を賑わせて久しい。1月9日にはレバノン・ベイルートで、2018年11月の逮捕以来初の記者会見が行われ、世界から約100人の記者が集まった。

偽証容疑で東京地検特捜部から逮捕状が出ている妻のキャロルとともに登場したゴーンが、自身の逮捕を(「まったく予想できなかった」という意味で)「真珠湾攻撃」になぞらえたことは、すでに世界の各メディアが報じている。

世界各国の記者たちの質問に対し、フランス語、レバノン語、英語、ポルトガル語で、次々と流暢に答えたゴーン。

そして会見後、米紙「ニューヨークタイムズ」東京支局記者ベン・ドゥーレイが1対1のインタビューに成功した。その際のゴーンのコメントが、同紙の番組「ザ・デイリー」の1月14日ポッドキャスト配信分「The Escape of Carlos Ghosn(カルロス・ゴーンの逃亡)」で公開された。

インタビューの中でゴーンは「そもそも罠にかかるような場所には足を踏み入れないことこそが身を守ること。そして今の私の責任は、日本にいるすべての外国人に『気をつけろ』と警告することだ」と述べた。

──英国でも今回のゴーン逃亡に関する関心は高い。

セーラ・パーソンズ氏は日本に詳しい英国人として英国CNBCニュースにインタビューされ、そのコメントは英有力紙「The Times」にも引用された。彼女は日本に進出を考える英国企業へのコンサルティングを20年間にわたって行う「ジャパン・イン・パースペクティブ社」社長であり、在英国日本大使館主催の「英国ジェットプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)同窓会」英国会長でもある。

今回、Forbes JAPAN編集部もパーソンズ氏に、上記ゴーンのコメントについて、そして今回の「逃亡」についてメールインタビューした。その回答を以下掲載する。


セーラ・パーソンズ(Sarah Parsons)氏


彼は一連の動きの中で、日本のコーポレート・ガバナンスの弱さを暴露しました。しかし彼も倫理的なリーダーとは決していえない、そして彼自身、日本のCEOのリーダーシップのポジティブな側面についてまったく触れようとしないまま、自身が「貢献」していた企業のコーポレートカルチャーを大きく変えてしまったといえると思います。

多くの西洋人が、人権的な側面からは、彼が日本で受けた扱いに個人的には賛同しかねると言っていることも事実です(弁護士不在のまま長時間尋問を受けるなど)。そして、日本の裁判制度は日本人にであれ外国人にであれ厳しいものであることも確かなことです。

「在日外国人への心象」に決定的ダメージ

しかし、今回、ゴーンが世界に及ぼしたもっとも危険な影響は、「日本で働く外国人に対する日本人の心象を悪化させたこと」だと思います。レバノンでの会見後、「日本にいる全外国人に『気をつけろ』と警告すること──それこそが私の責任だ」と述べたこともそれを象徴しています。彼の影響で日本を訪れることを思いとどまる外国人もいるはずで、これはまったく好ましいことではありません。

なぜなら今の日本にとって大事なことは、「世界の才能に門戸を開くこと」にほかならないからです。

私は今、日本がより大きな視野に立ち、今回の事件についての世界的な批評傾向を大きく「たわませる(梶を逆方向に切る)」ことが絶対不可欠であると思っています。

不可欠な、日本から世界への「ポジティブPR」

なぜならゴーンの一件は、日本にいる外国人にとっての一般的な状況ではないからです。日本で働く多くの外国人が日本での仕事を楽しんでいますし、何よりも私自身、日本を目指したい、そして世界の他のどこでもない「日本」でのビジネスの成果を享受しているエグゼクティブたちとともに仕事をしたい、と考えているたくさんの学生と実際に関わっています。

今回の、ゴーンの妻キャロルへの逮捕状は事態をエスカレートさせる上に、ゴーンに、日本に対する世界のイメージをネガティブに塗り変えるネガティブ・パブリシティへの格好の口実を与えただけだと、私は考えています。

日本にとって今、処々の物事を進める「プロセス」に対してより開かれた立場を示すこと、また、裁判システムをよりオープンで国際的なものにすることが必要とも強く感じます。

何よりも日本の側から、「ポジティブな広報活動」を世界に向けて紡ぎ、日本が安全で犯罪のない国であるという国際評価を維持することが今、非常に重要だと感じます。

とても難しいことではあるでしょうけれど。

訳・文=石井節子

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