「三方よし」のDNAを生かす。ステークホルダー資本主義時代の日本の強みとは

安倍晋三首相と世界経済フォーラム会長・クラウス・シュワブによる議論。2019年年次総会にて ( REUTERS/Arnd Wiegmann )


変化が加速しているという事は、企業自体が時代に合わせた変化をしなければならない事を意味しているのです。事業の質が変化し、過去の経営常識は脆弱になりました。もはや大切なことは繁栄ではなく、生き残り、それも健全に生き残ることとなりました。

たとえば、10年前には企業の最優先事項ではなかったかもしれない気候危機は、現在では最優先される課題です。企業のステークホルダーがグローバルな市民であると認識すれば、問題解決への手法を変えなければなりません。

急速に進む今日の世界において、経済成長を促す為に重要なのは革新力です。世界経済フォーラムの世界競争力レポート2019では、日本は141カ国中6位に位置していますが、日本には果たすべき明確な課題がまだ多く残っています。

日本は、労働力の多様性を高め、技能格差を解消し、女性の参画を増やすよう尽力しなければなりません。そのためには、革新を促進し、ビジネスのダイナミズムを推進しつつも、高いリスク回避志向や柔軟性のない企業風土という課題の解決に真摯に取り組まなければなりません。

「ステークホルダー資本主義」の重要性をさらに高めるため、「ステークホルダーがつくる、持続可能で結束した世界」をテーマに掲げる世界経済フォーラム年次総会2020では、エコロジー、経済、社会、テクノロジー、産業、地政学という6つの重要な側面に焦点を合わせます。官民部門のリーダー達が、この6分野の主要課題へ長期的に対処していくための方法と、包摂的でありながら同時に第四次産業革命のニーズを満たすためのこれからの発展のあり方について議論します。

「三方よし」というDNAを活用できる日本には、第四次産業革命時代の「ステークホルダー資本主義」においてリーダーとなり得る強みがあるのです。

この記事は、2020年1月21日~24日にスイスのダボス・クロスタースにて開催される世界経済フォーラム年次総会の一部で、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです。

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Makiko Eda, Chief Representative Officer, World Economic Forum Japan, Member of the Executive Committee,

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