GMの自動運転「クルーズ」、ロボットタクシーの実現に意欲

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自動運転車両の本格的な商用化に向けてはまだ未確定な要素が多いが、GM(ゼネラル・モーターズ)の自動運転部門「クルーズ」は、サンフランシスコでのロボタクシーサービスの実現に向けての準備が、着々と進んでいると述べた。

クルーズは「オリジン(Origin)」と呼ばれるプロジェクトで、ハンドルやブレーキペダルを持たない自動運転車を用いたライドシェアサービスを展開する予定だ。オリジンの車両は2列のシートを内向きに並べたボックスタイプで、広々とした車内空間を特徴としている。

この車両はGMとクルーズに加え提携先のホンダのエンジニアらが開発したもので、クルーズが立ち上げるロボットタクシーサービス限定で使用される。クルーズCEOのダン・アマンは1月21日、「初期のサービス地域を間もなく発表する」とサンフランシスコで述べた。

「当社の自動運転車両は、従来の自動車とは全く異なるプロダクトだ。この車は自動運転で走行するEV(電気自動車)で、カーシェアリングを前提に製造された。コンセプトモデルではなく、実際に量産する車両だ」とアマンは話した。

しかし、アマンは正式な製造スケジュールについては回答を避け、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)から、公道での走行許可を得るのがいつになるかについても明かさなかった。「当社はNHTSAとは親密な協議を重ねている。彼らは当社の車両について深く理解してくれている」とアマンは続けた。

2016年にGMに買収されたクルーズは、少なくとも72億5000万ドル(約7980億円)をホンダやソフトバンクを含む出資元から調達している。同社はアルファベット傘下の「ウェイモ」やフォードの傘下でフォルクスワーゲンからの出資を得た「アルゴAI」らと並んで、自動運転分野で最も巨額の資金を調達した企業として知られている。

この分野で10年以上の歴史を誇るウェイモは、既にフェニックス郊外で有料のロボタクシーサービスを始動させているが、運行に際しては人間のセーフティドライバーを同乗させている。同社は完全に無人の自動運転を実現する時期や、サービス地域の拡大時期を開示していない。

クルーズは当初、2019年にサンフランシスコでロボタクシーサービスを始動する計画だったが、その計画を延期していた。同社は現在、テスト車両を週7日、1日24時間体制で走行させ、サービス立ち上げの準備を進めている

クルーズの共同創業者のKyle Vogtは21日、「これまで累計で約100万マイルの自動運転テストを行った」と述べた。

「これまでの数年のテスト走行により、人間に匹敵する精度の自動運転技術を磨き上げた。本格的なサービス開始まであとわずかだ」とVogtは話した。「オリジンが本格始動する頃までに、人間を超えるパフォーマンスを実現する」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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