インポッシブル・フーズは現在、生産量を2倍以上に増やすべく取り組んでおり、そうすべき理由もある。ビヨンド・ミートが、カナダにあるマクドナルド数十店舗でビーガン・バーガーの試験販売を始めたのだ。ビヨンド・ミートは、マクドナルドと非公式で協議しており、全世界におけるマクドナルドの需要に問題なく対応できると主張していると、ロイターは報じている。
インポッシブル・フーズとマクドナルドの協議が決裂したと報道されると、ビヨンド・ミートの株価は12%以上も高騰した。
代替肉の本当の利点
文化的なトレンドを決定づける黒人著名人の多くがインポッシブル・フーズに投資し、口先だけでなく実際に行動を起こして代替肉業界を支援しているのは素晴らしいことだ。とりわけ、アメリカでは高血圧と心疾患がきわめて一般的だからだ。
米疾病対策センター(CDC)によると、アフリカ系アメリカ人男性の44%近く、アフリカ系アメリカ人女性の48%が、心疾患を含む何らかの循環器疾患にかかっている。そうした病気を予防するひとつの手段としてCDCが挙げているのが、健康的な食生活を送ることだ。したがって、植物由来の代替肉は、アフリカ系アメリカ人における循環器疾患の割合を下げてくれる可能性がある。
もちろん、肉を使わないバーガーは、どんな人にとっても有益である可能性がある。非営利団体「グッド・フード・インスティチュート(Good Food Institute)」のデータによると、代替肉分野への過去10年間の投資額は160億ドルに達した。さらに、スーパーマーケットで販売される代替肉の売上は2019年に19%増え、8億7800万ドル(約962億8324万円)に達したことがニールセンのデータから明らかになっている。
ただし、食肉業界との差は桁違いだ。2018年のアメリカにおいて、植物由来肉の売上は6億8400万ドルに上ったが、食肉業界の年間売上は2700億ドルだったのだ。