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松本恭攝(右)と田村 淳(左)

The MACALLAN × Forbes JAPAN
The Greedy Talk ~成功の先を目指す貪欲な挑戦者~

<対談第4回>
松本恭攝 ラクスル代表取締役社長CEO
田村 淳 ロンドンブーツ1号2号

「MAKE THE CALL」―リスクを恐れず、大胆な決断で成功を勝ち取る―という信念をもつ、シングルモルトウイスキーのザ・マッカランとForbes JAPANが創設した「The Greats of Greed Award」。さらなる成功を目指し貪欲に挑戦するCEO4名が選ばれた。このAwardのアンバサダーには田村淳が就任。田村淳が紐解く、CEO達の挑戦し続けるための原動力とは。


東京副都心の夜景を背景に、琥珀色に満ちたグラスを傾け、ザ・マッカランの芳醇な香りとともに交わされるのは、ひときわ熱く特別な会話。今回、田村淳が迎え入れたゲストは、旧態依然とした印刷業界の構造を革新し、成功を収めたラクスル・松本恭攝だ。

元バックパッカーのCEOは革新よりも変わらないことを恐れる

田村 淳(以下、田村)ラクスルは印刷業界の構造革新と言われています。そうした大きな変化を生み出すことは相当に大変だったと思うのですが。

松本恭攝(以下、松本) 変化ということに関して言えば、私にとっては変化が起きない方が苦痛であり恐怖です。常に今日と違った明日の風景を見たいという好奇心で生きているので。もともとバックパッカーということもありますし。

田村 バックパッカー!? それはいつごろのことですか?

松本 学生時代、外資系企業に就職が決まったのですが、英語が不安でカナダに留学したのがきっかけです。そこで言語はもちろん、文化の違いなど、自分の価値観が見事に突き崩されました。でも、それが……、快感に感じてしまったのですね(笑)。それでバックパックひとつ背負って、世界中を回り始めました。アメリカ、ヨーロッパ、ベネズエラ、アジア諸国など、世界各国を次々と旅したのです。

田村 世界中の価値観を知りたくなった?

松本 そうですね。旅の最中にはトラブルも多く、言葉がまともに通じないこともしばしば。でもそうした経験のなかで自分は、困難な状況に立ち向かえば向かうほど、どうやらワクワクする体質なのだなと気づいたのです。私は基本的に、どんなに高い壁に囲まれたがんじがらめの状況だとしても、良い面は必ずあると考えます。そうすると自然にチャンスが浮かび上がってくるのです。



常識は疑う。立ちはだかる壁があれば、ワクワクする

田村 世界中を見た後でも、起業に適さないと言われている日本で会社を立ち上げた理由は?

松本 いや、それは違います。日本は起業に向いていますよ。シリコンバレーや中国・深圳などに起業家が多いイメージがありますが、それらの地が本当に起業に適しているのでしょうか。周囲を見回しても、数え切れないほどのライバルたちがひしめいている。冷静に考えれば、それらの地よりも、圧倒的に起業家の数が少ない日本の方が、成功に有利だと思いませんか?

田村 なるほど、そのように見るのですね……。ちょっと私は常識に囚われていたかもしれません。確かに、印刷機の非稼動時間を活用するというラクスルのアイデアは、そもそも常識的な考えをしていては浮かびませんよね。

松本 やはり海外で価値観を徹底的に崩され続けてきたからこそ、見えたことかもしれません。

田村 失敗に関してはいかがですか。失敗をしてしまったとき、どうやって立ち直りますか?

松本 私はきっと、人より圧倒的に多く、失敗していると思うのですよね。でもそれも考え方次第で、あきらめなければそもそも失敗ではないのです。単なる過程です。それに前例のない事業を行えば、問題は起きる方が当たり前です。それまで存在しないビジネスを立ち上げるのですから。ただ自分は、“問題”が好きなのです。向き合って、解決するときにもやはりワクワクしてしまうのですよ。

田村 私もたいがい自分はポジティブな人間だと思ってきましたが、困難は困難として受け止めてきましたので、とても松本さんにはかないません(笑)。では、そのワクワクの先に、どんな野望をもっているのでしょうか?

松本 人々が人生のなかで、必ず弊社のサービスに触れるような、さまざまなインフラをつくりたいですね。まずは既存の常識を疑い、印刷・広告や物流というサービスの仕組みを変えることで、東証一部上場を果たしました。気持ち的にはやっとスタートラインに立てたという感覚です。今後ラクスルの歴史でさまざまなインフラをつくり上げる、まず第一歩ですから。



高い品質と高級感で人々を魅了するザ・マッカラン。それは世界中の愛好家たちに指名される特別な存在のシングルモルトウイスキーだ。彼らには、ザ・マッカラン以外は目に入らない。松本は大きな野望を口にした。誰もがザ・マッカランのように自社のサービスを指名する世の中にしたいと、琥珀色のウイスキーをゆっくりと味わいながら語った。ザ・マッカランが彼の野望の火を、さらに燃え盛らせていく。

真の伝統継承は、守るものと変え続けるもののバランスにある

田村 ザ・マッカランは約190年の間、職人たちが熱いこだわりとともにつくり続けてきたシングルモルトウイスキーです。松本さんはそこに何を感じますか?

松本 同じことをただ守り続けているだけなら現在はなかった、そう思いますね。約190年の伝統をつくり出すまでには、数々のチーフブレンダーがいましたよね。彼らはきっと、守るものと変化させるものとの最適なバランスをとるために挑戦を重ねてきた人たちだったと思うのですよ。

田村 同じことをしていたわけではないと?

松本 そうです。でなければ、このように、現代的なエッジのある香りと味は感じられないはず。私も不変の企業価値をもちながら、常に革新し続ける企業を目指しているからわかります。守り続けるこだわり、変化させる勇気、その両方が必要なのです。

田村 こだわりはもちつつ、アップデートしている。それはザ・マッカランが2018年に、さらなる革新を目指して新たな蒸溜所を完成したことにも通じますね。

松本 だからこそ、いまこの時に、おいしく味わえるのです。伝統と革新は、共存できるのです。私はよくウイスキーを飲みながらリラックスした状態にして考えることがあるのですが、ザ・マッカランなら、これまでにないインスピレーションを与えてくれそうな気がしてなりません。



豊かな自然に恵まれたスコットランド・スペイサイド地方。世界で最もウイスキーづくりに適していると言われるこの場所に蒸溜所を築いたのがザ・マッカランだ。しかしその伝統を礎にさらなる未来に向け、2018年に蒸溜所を新設した。伝統を受け継ぎ、選ばれるブランドであり続けるということは、それと同時にたゆまぬ革新をも続けること。松本はそんな伝統継承の真の方法について、気づいていたのだ。




松本恭攝(まつもと・やすかね)◎1984年富山県生まれ。慶應義塾大学卒業。非効率な印刷業界の革新を志し、2009年にラクスルを設立。13年より印刷機の非稼働時間を活用した印刷・広告のシェアリングプラットフォーム事業「ラクスル」設立。15年には物流シェアリングプラットフォーム「ハコベル」も開始。既存産業の産業構造の変革で多角展開を図っている。

「The Greedy Talk~成功の先を目指す貪欲な挑戦者~」特設サイト
https://forbesjapan.com/feat/macallan/

田村淳が「The Greats of Greed Award」を受賞した4名のCEOに成功を求めて挑戦を続ける原動力を聞く「The Greedy Talk~成功の先を目指す貪欲な挑戦者~」。各回は以下の通り。

第1回 | dely株式会社 代表取締役/CEO 堀江裕介
第2回 | BASE株式会社 代表取締役CEO 鶴岡裕太
第3回 |株式会社アストロスケールホールディングス 創業者 兼 CEO 岡田光信
本記事|ラクスル株式会社 代表取締役社長CEO 松本恭攝

Promoted by Suntory Spirits / text by Ryoichi Shimizu / photographs by Shuji Goto / edit by Akio Takashiro

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