経済・社会

2020.01.26 15:00

米国のエネルギー安全保障、必要なのは隣国との連携強化


次は、メキシコのニュースについて述べよう。同国はこれまで、エネルギー産業に関しては保護主義的な姿勢をとってきた。1930年代には、土壌資源をすべて国有化。原油、天然ガス、鉱物の採掘権を政府のものとした。そのときメキシコ政府は、国内で操業していた海外のエネルギー企業を追い出している。

しかしメキシコは最近になって、海外企業を受け入れる姿勢をほんの少し見せるようになってきた。2020年に入ってすぐ、アメリカの資源探査・生産企業タロス・エナジー(Talos Energy)がメキシコ沖で6億7000万バレルの油田を発見したと報じられた。これはメキシコにとって、北米エネルギー企業との提携が有益であることのあかしだ。

海外企業の探査を認めることで得られる利点は、メキシコにとってとりわけ重要だ。というのも、メキシコの国営石油企業ペメックス(PEMEX)は財源不足に陥っており、多大なコストを要する探査事業に、先頭立って取りかかることができない。その一方で、メキシコの原油生産量を増やすという緊急課題に直面している。

北米自由貿易協定(NAFTA)のもとで、メキシコはエネルギーに関してかなり有利な状態にあった。NAFTAには、メキシコ政府が歓迎するような、さまざまなエネルギー的な利益や適用除外が盛り込まれていたが、アメリカやカナダにとってはそうではなかった。

たとえば、メキシコにあったアメリカとカナダの熱電供給施設は、余剰電力をメキシコ政府の希望する価格で売ることを余儀なくされていた。さらにメキシコ政府は、アメリカとカナダの企業によるメキシコ国内での石油探査を禁止することができた。

いまではそうした状況が変わりつつあるし、状況は改善され続けるべきだ。広範囲にわたって通商と協力が行われる、オープンなエネルギーの共同市場こそ、北米大陸における真のエネルギー安全保障に向かう最善の道なのだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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