iPhone向けのガラススクリーンを製造する米国のコーニング社も、台湾での存在感を高めようとしている。同社の台湾法人、Corning Display Technologies Taiwan(CDTT)は先月から台湾大学の起業家センター「Taidah Entrepreneurship Center」と組んで現地のスタートアップの育成に乗り出した。
現地のテックメディアDigiTimesによると、コーニングは台湾のスタートアップを支援する見返りに、同社のプロダクトの新たなユースケースを探ろうとしている。
コーニングのマーケティング担当のSarah Pakyalaは「当社は台湾のスタートアップのイノベーション能力を高く評価する。台湾大学の起業家センターは現地のスタートアップとの接点を探る大手企業にとって魅力的なプラットフォームだ」と述べた。
ガラス製品メーカーとして169年の歴史を持つコーニングが台湾に進出したのは、液晶ディスプレー(LCD)業界の勃興期の1971年の事だった。コーニングは台湾企業の手を借りて、同社の製品を世界に送り出してきた。
Pakyalaは今後、台湾のスタートアップが、同社のスマホ向け特殊ガラス「ゴリラガラス」の新たなユースケースを見出すことを期待していると話す。DigiTimesによると、想定されるのは医療向けデバイスや自動車向けのプロダクトだという。コーニングは先日、新技術のColdFormテクノロジーを、自動車向けのディスプレーに適用し、インフォテインメントシステムで活用するとアナウンスしていた。
コーニングはまた、同社の空気浄化システムのユースケースを台湾のスタートアップに提案させることを望んでいる。「現地のスタートアップから、イノベーティブなアイデアが出てくることを期待する」とPakyalaは話した。
台湾大学の起業家センターは6年の歴史を持ち、現地の通信キャリアや銀行、ディスプレイメーカーの友達光電(AUO)などの支援も受けている。コーニングのプロジェクトの始動にあたり、同センターは現地のスタートアップ5社を選出する。コーニング側は起業家センターに、マネージメント料を支払うという。
選出されたスタートアップはコーニングによるメンタリングが受けられ、大学のリソースにもアクセス可能になる。コーニングの支援プログラムは1年間に渡り実施されるという。台湾には数千社のスタートアップ企業が存在し、少なくとも460社がテクノロジー分野の企業とされる。
台北本拠のコンサルティング企業Backer-FounderのCEOのLin Ta-hanは、「コーニングは理想の提携先を見つけるはずだ」と述べた。「台湾の教育レベルは高く、テック系の優秀な人材も多い。さらに、消費者の新たなテクノロジーに対する関心も他の国に比べて非常に高い」とLinは話した。