踊り方で個人を識別するテクノロジー、北欧の研究者が開発

Leszek Glasner / Shutterstock.com

ミック・ジャガーや「となりのサインフェルド」のエレイン・ベネスのような、クールな踊り方が出来ないとしても、誰もが特有のダンスをしている。フィンランドの研究者がマシンラーニングでコンピュータに、ダンスのパターンを分析させた結果、踊り方で個人を特定できることが明らかになった。

ユヴァスキュラ大学の研究チームは、当初から個人の踊り方で人々を識別しようとしていた訳ではなかった。研究者は、特定のジャンルの音楽に合わせて踊る人々のダンスをコンピュータに学ばせ、音楽のジャンルを推測させようとしていたという。

音楽のジャンルの定義は難しい。使われている楽器やテンポ、メロディのパターンを認識することで、カントリーやロックなどある程度のジャンル分けは可能だが、音楽のカテゴリ分けにはファッションやダンスなどの要素も関わってくる。

今回の研究ではまず、特定の音楽に必ず出てくるダンスの動きがあるかを探ろうとした。73人のボランティアを集め、ジャズやロック、ヘヴィメタルなどの音楽に合わせて自由に踊ってもらい、その様子を撮影した。

そしてコンピュータにダンスの動画を音楽ジャンルごとに仕分けさせたところ、この方法ではジャンル分けの精度がかなり低いことが分かった。一方で、踊っている個人の識別に関しては、94%の精度で正解を導き出せたという。

人体の動きから個人を特定するテクノロジーは、既にセキュリティ分野で実用化されており、カメラに背を向けていても個人の特定が可能だ。しかし、ユヴァスキュラ大学の研究チームは、今回のデータを監視テクノロジーの開発に用いる考えは無いという。「我々のチームは、体の動きから個人の音楽的才能を読み取ろうとしている」と論文では述べられた。

しかし、ダンスによって個人を特定されたくない人に朗報なのは、コンピュータが個人を特定するのに特に苦戦した音楽ジャンルが1つだけあったことだ。それはヘヴィメタルだ。激しいリズムに合わせてヘッドバンギングをする人は、誰もが同じに見えるらしい。

編集=上田裕資

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