AWSとAWS上で提供されるサービスについて述べる前に、クラウドコンピューティングにおいて「リージョン」がどのような意味を持つか、かんたんに説明しておこう。
クラウドコンピューティングにおいて「リージョン」とは、地理的・物理的に離れて存在するエリア(データセンターが設置された独立エリア)を意味する。そしてリージョン内にはインフラの運用単位である「ゾーン」(AWSではAZ/アベイラビリティゾーンと呼ばれる)が設けられ、ユーザーは利用するリージョンとゾーンを選択して仮想サーバやストレージを構築することが典型的な形だ。
リージョンとアベイラビリティゾーンの概念
そしてゾーンが違えば、同一リージョン内であってもサーバは物理的に分離されている。だから電源故障やネットワーク障害が発生しても、ほかのゾーンには影響が及ばないしくみだ。
2018年に開設された大阪リージョンは、2020年1月現在22のリージョンに69のAZが展開されるAWSのインフラでも特殊な存在といえる。通常のリージョンには複数のAZが設置されているところ、大阪リージョンのAZは1つ、しかも東京リージョンとの併用が前提で審査のうえ特別に許可を受けたユーザでなければ利用できないからだ。
2020年1月現在、AWSは22のリージョンに69のAZを展開中
2021年初頭に提供が開始される大阪リージョンでは、それらの制限は取り払われ、他のリージョン同様すべてのAWSユーザに開放される。これにより、関西・西日本のユーザは東京リージョンを利用する場合に比べ低遅延でAWSにアクセスできるほか、複数のAZを利用することで可用性(システムが動作し続ける能力)を高めることが可能になる。