テクノロジー

2020.01.23 06:30

運用コストを最大60%削減。アマゾン「AWS」はシステム開発をどう変える?

アマゾン ウェブ サービス ジャパン 代表取締役社長 長崎忠雄氏

2006年に誕生したAmazonのクラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)」。2010年に日本語サイトをオープン、翌2011年に東京リージョンを開設して以降、順調に業容を拡大している。そのAWSが、2018年に開設した大阪ローカルリージョンを2021年初頭にスタンダードなリージョンとして提供するという。大阪リージョンが開設された場合、アジア太平洋地域では9番目の通常リージョンとなる。

AWSとAWS上で提供されるサービスについて述べる前に、クラウドコンピューティングにおいて「リージョン」がどのような意味を持つか、かんたんに説明しておこう。

クラウドコンピューティングにおいて「リージョン」とは、地理的・物理的に離れて存在するエリア(データセンターが設置された独立エリア)を意味する。そしてリージョン内にはインフラの運用単位である「ゾーン」(AWSではAZ/アベイラビリティゾーンと呼ばれる)が設けられ、ユーザーは利用するリージョンとゾーンを選択して仮想サーバやストレージを構築することが典型的な形だ。


リージョンとアベイラビリティゾーンの概念

そしてゾーンが違えば、同一リージョン内であってもサーバは物理的に分離されている。だから電源故障やネットワーク障害が発生しても、ほかのゾーンには影響が及ばないしくみだ。

2018年に開設された大阪リージョンは、2020年1月現在22のリージョンに69のAZが展開されるAWSのインフラでも特殊な存在といえる。通常のリージョンには複数のAZが設置されているところ、大阪リージョンのAZは1つ、しかも東京リージョンとの併用が前提で審査のうえ特別に許可を受けたユーザでなければ利用できないからだ。


2020年1月現在、AWSは22のリージョンに69のAZを展開中

2021年初頭に提供が開始される大阪リージョンでは、それらの制限は取り払われ、他のリージョン同様すべてのAWSユーザに開放される。これにより、関西・西日本のユーザは東京リージョンを利用する場合に比べ低遅延でAWSにアクセスできるほか、複数のAZを利用することで可用性(システムが動作し続ける能力)を高めることが可能になる。
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文・写真=海上 忍

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