配達ロボットを遠隔で監視する「ファントム・オート」の技術

Mikko Lemola / shutterstock


米国内では、カリフォルニア州やフロリダ州、テキサス州、その他の国では、スウェーデンや英国、オランダにおいて、道路や歩道を自律走行する車両には遠隔地からの監視や支援が必須条件となっている。また、配達ロボットに関する法律を定めた米国の州では、遠隔地からの監視と支援が義務付けられている。

昨年12月、グーグルの自動運転プロジェクトの責任者を務めたChris Urmsonらが設立したスタートアップ「オーロラ(Aurora)」は、「テレアシスト」と呼ばれるシステムを開発し、同社の自動運転車を管理している。

アリゾナ州フェニックスで最大規模のロボットタクシーを運営するウェイモも、2年前から同様の手法で車両の管理を行っている。

オーロラとウェイモは、セルラーネットワークの通信遅延によってセンサーデータの受信に遅延が生じる可能性があることから、遠隔操作を行っていない。また、車両から良好な情報が送られてきたとしても、遠隔地にいる技術者が状況を把握するまでに数秒を要する可能性も指摘されている。

これに対し、Phantom Autoの共同創業者で事業開発責任者のElliot Katzは、「我々が遠隔操作をするのは、貨物置場や倉庫などの閉鎖された環境で走行するトラックやフォークリフトか、公道や歩道を低速度で走行する配達ロボットだけだ」と述べている。

自動運転技術が普及するためには、安全性を確立し、事故を避けるためのバックアップシステムを構築する必要がある。2018年にウーバーの自動運転車が、道を横断していた歩行者と衝突し、死亡させる事故が起きた。この時は、車両が歩行者を検知できず、人間のドライバーも前方を確認していなかったことが原因だった。この事故により、自動運転車の安全対策の重要性が改めて浮き彫りになった。

Phantom Autoは、小型ドローンから大型トラックまで、幅広い種類の自動運転車に対して遠隔監視ソフトウェアを提供し、安全対策を強化することを目指している。

「完全な自律走行が実現していない今だからこそ、我々の製品が必要となる。当社のビジネスは順調だ」とKatzは述べた。

編集=上田裕資

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