自動運転車向けのセンサーやコンピューティングの開発には、この数年で数十億ドル規模が注ぎ込まれたが、その成果は配達ロボットや自動運転トラック、倉庫や清掃、セキュリティ用のロボットなどに活かされている。
これらのロボットが普及すると、トラッキングや監視・誘導のほか、必要に応じて遠隔操作をすることが求められる。これらの業務を支援するのが、シリコンバレーのスタートアップ企業「Phantom Auto(ファントム・オート)」だ。
創業者のShai Magzimofは、過去にフォーブスの「30アンダー30」に選出された。Phantom Autoは2018年にステルスモードを脱し、ラスベガス周辺を走行するリンカーンMKZを500マイル(約800キロ)離れたカリフォルニア州マウンテンビューにいる技術者が操作して世界を驚かせた。
同社は、これまでに2000万ドルを調達しているが、技術者やサポート人員を増やすために追加で資金を調達する予定だという。また、今後はプロダクトを車両に搭載されたカメラなどのビジョンシステムを通じて技術者が周辺状況を確認するソフトウェアに絞るという。このソフトウェアは、遠隔地にいるオペレーターがガイダンスや経路計画を行ったり、必要に応じて遠隔操作をすることを可能にする。
「我々は当初、コントロールステーションや車両用ハードウェア、ソフトウェアなどあらゆる製品を開発していたが、今後はソフトウェアの提供に専念する」とMagzimofは述べた。
フードデリバリー分野でも活用
食品配達のスタートアップ「Postmates」は、昨年からPhantom Autoのシステムで、ロサンゼルス市内を自律走行する配達ロボット「Serve」を監視している。また、オランダの貨物置場用トラクターメーカー「Terberg」は、モニタリングと遠隔操作を行うためにPhantom Autoのシステムを導入した。
Phantom Autoは先日、新たに「Phantom Core Software Development Kit」をリリースした。このキットは、あらゆる車両向けコンピュータシステムにインストールすることができ、モニタリングやガイダンス支援を提供する。