フェデラー、もう一つの顔は「新入社員」 テニス界の皇帝のスタートアップ物語

ロジャー・フェデラー


ここで、フェデラーが意識していた新興スポーツブランド「On」に話を移す。10年前、Onはユニークなバックグラウンドをもつ3人のスイス人によって設立された。

マッキンゼーなど長い間ビジネスの世界で活躍してきたデイビッド・アレマン、元トライアスロン選手のオリヴィエ・ベルンハルド、そして、元スポーツジャーナリストのキャスパー・コペッティである。

現在は世界50カ国以上、6000店舗にまで拡大。マーケティングリサーチを行うNPDの調査によると、ナイキやアディダスなど巨大スポーツブランドがしのぎを削るランニングシューズ市場において、スイス・アメリカ・ドイツ・日本の4カ国で15年から4年連続成長率1位を記録するなど、着実な成長を果たしている。

創業当時のことを聞くと、デイビッドは「世界にはいくつもの巨大ブランドがあるなかで、新興ブランドがどれだけやれるのか、最初は正直怖かった」と言う。

「だからこそ3人全員の勇気が必要でした。互いの力を出し合うために当時の仕事を辞め、貯金を投資し、本格的に向き合ったのです」

上述の通り、いまや世界中に愛用者がいるOnの認知が一気に広がったきっかけのひとつは、 16年のリオデジャネイロ五輪だった。女子トライアスロンのスイス代表ニコラ・スピリグがOnの代表モデル「Cloud」を履いて銀メダルを獲得したのだ。


ベストセラーモデルの「Cloud」。デイリーユースからランニングまで対応可能

Onにとっては図らずも幸運な出来事だったが、当初から何かの強い後押しがあったわけではない。無名ブランドがどのようにオリンピック選手に選ばれ、フェデラーの目にとまり、世界中で認められていったのか。そこには彼ら独自のマーケティング手法があった──(続きはフォーブス ジャパン 2020年3月号でお読みいただけます)。


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文=安部かすみ、フォーブス ジャパン編集部 写真=アーロン・コトフスキー

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