日本発「木のストロー」はトレンドになるか? 国産スギの間伐材を活用

アキュラホームが開発を手がけた、木のストロー

日本は世界でも有数の「森の国」だということを知っているだろうか。

国土の約68%が森林であり、その森林面積は150年前から変わっていないとも言われている。国土面積に対する森林面積の比率を表す「森林率」は、先進国のうちフィンランド(73%)、スウェーデン(69%)に次いで第3位だ。

そんな森の国・日本ならではの「木のストロー」が、プラスチック製ストローの代替品として、注目が集まっている。開発したのは、木造注文住宅を扱うアキュラホーム(宮沢俊哉社長)だ。

痛々しいウミガメの姿から世界で広がる、脱プラの動き

2015年に絶滅が危惧されるウミガメの鼻からプラスチック製ストローを取り除く、痛々しい動画が拡散され、世界的にプラスチック製ストローやレジ袋の禁止など脱プラスチックの動きが本格化している。コーヒーチェーン大手スターバックスが、2020年中に世界全店舗でプラスチック製ストローを廃止、紙ストローへ移行を行うとの発表をしたことも記憶に新しい。中国政府も、同じく2020年末までに国内の全ての飲食店でプラスチック製ストローを禁じる政策を打ち出したばかりだ。

一方で、日本発の「木のストロー」とは、一体どんなものなのだろうか。

木のストロー
カンナで薄くスライスしたスギの木と、らせん状に巻かれた木のストロー

匠の技、ものづくり精神を伝えるツールにも

作り方は匠の技を生かしつつも、シンプルだ。スギの木をカンナで厚さ0.15ミリに薄く削り、長さ30センチほどにカットしたものに、専用のりを塗って、芯棒に巻きつけるようにらせん状に巻いていくと、「木のストロー」が完成する。最大の特徴は、間伐材や倒木のスギで作られており、海洋問題だけでなく森林問題にもアプローチしていることだ。

間伐とは、森林の成長に伴って密集しすぎた木を間引くことであり、森林を健全に保つための作業だ。適切な間伐を行うことにより森林面積が増加し、CO2の排出量が減る。さらに整った地盤が形成されるため、土砂崩れなど災害を防ぐことにもつながる。

間伐材は、そういった森林保全の過程に出る木材のことを指す。多くの場合、間伐材は廃棄されてしまう。木の質は他の木々と変わらなくても、だ。そこに目をつけたのが「木のストロー」である。

廃材であった木々を生まれ変わらせ、環境保全対策となっていることから、昨年日本で行われた「G20大阪サミット」や主要大臣会合で、この「木のストロー」が使用された。2020年7月に開幕する東京オリンピックでは「1000万本の木のストロープロジェクト」と題して、アキュラホームが主体となって国立競技場の前にブースを設置。「木のストロー」を配布し、世界中の人々に日本の木の文化をやものづくりの精神を伝え、環境改善のきっかけづくりをする。
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文=河村 優 写真=督あかり

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