2025年までにバージンプラスチックの使用を3分の1減らすほか、パートナーと連携して循環型経済(サーキュラーエコノミー)の推進や海や川、湖のプラスチックごみ除去にも取り組む。ネスレの広報担当者によれば、パートナーの全リストはまだ確定していないという。
最高経営責任者(CEO)のマーク・シュナイダーは「プラスチックは埋め立て地に送ったり、ごみとして処分したりしてはならない」と強調。再生プラスチックを食品と接触しても安全なものにするのは「業界にとってたいへん大きな課題」とした上で、食品で使えるレベルの再生プラスチック市場の成長や包装分野のイノベーション促進のために「大胆な行動に踏み出す」と表明した。また、ほかの企業などがこの取り組みに参加するのを歓迎する意向も示している。
ネスレは昨年、50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指すと発表し、その一環として、25年までにすべての商品の包装材をリサイクルもしくは再利用が可能な素材に切り替える目標も掲げている。だが、世界の環境保護団体などが参加する「ブレイク・フリー・フロム・プラスチック(Break Free From Plastic、BFFP)」がまとめた調査では、ネスレは昨年、2年連続で世界ワースト2のプラスチック汚染企業に選ばれていた。
ネスレの今回の発表によると、今後25年までに食品と接触可能な再生プラスチックを最大200万トン調達し、そのための割り増し費用として15億ドルスイスフラン超を充てる。さらに、持続可能な包装を専門とする2億5000万スイスフラン規模のファンドを立ち上げ、包装分野のイノベーション、補充システム、リサイクルソリューションなどに関わるスタートアップに投資する。
BFFPの欧州コーディネーター、デルフィーヌ・レビ・アルバレスは、ネスレの発表について「興味深い動き」としつつ、バージンプラスチックの現時点の使用量、包装材に使用しているポリマーや添加物の種類などをまず公表することが重要だの考えを示した。ネスレについては「使い捨て包装への依存をやめ、再利用できる無害な製品やシステム重点的に取り組む」方向に投資を振り向ける必要があるとも指摘した。
環境保護団体グリーンピース・スイスのシニアキャンペーナー、マティアス・ビュトリッヒも、ネスレがバージンプラスチックへの依存度を下げることなどを約束したことには期待が持てるとしながら、「もしネスレがこれ以上世界を汚染したくないのなら、プラスチック自体への依存をやめるべきだ」と主張。ネスレは使い捨て包装の一掃と再利用を優先する必要があるとし、この点に関してリーダーシップを発揮するように促した。
ネスレは、透明性を高めるという方針通り、定期的に最新の状況を公表していくとしている。