世界経済フォーラム開幕。CO2排出量を減らす「気候ニュートラル」とは

グレタ・トゥーンベリさんは、昨年の1月、ダボスで気候変動対策の改善を求めて学校ストライキを行った。 (REUTERS/Arnd Wiegmann)

2020年1月21日にスイスのダボスで、世界経済フォーラムが開幕しました。「ステークホルダーがつくる、持続可能で結束した世界」をテーマに開催される年次総会において、気候変動対策の強化を含め、地球規模課題解決のための駒を先に進めるべく、さらなる連携を呼びかけます。

第50回を迎える総会には、世界中から3000人以上の参加者が集まり、同会は、4年連続で気候ニュートラルになる予定です。

では、「気候ニュートラル」とは何を意味するのでしょうか?

まず、二酸化炭素の排出量を減らすためにできる限りの活動を行います。材料や資源の使用量(今年、カーペットの量を減らすため、議会センターのレイアウトを変更中)から、提供する食事(これまで以上に地域で生産された旬の食材を選び、植物性の食事を中心とする)や交通機関(今年、自動車とバスの全車両のうち、90%がハイブリッドか電気自動車を使用)まで、あらゆる領域を対象としています。

今後も環境負荷の低減(環境フットプリントの削減)に努めていく予定で、完全に取り除く事ができないものについては、大気中の二酸化炭素排出量を削減する仕組みに投資することでオフセットしています。

2017年以降、当フォーラムでは、世界中の認定オフセットプロジェクトに資金提供することにより、年次総会が開催されることで発生しうる二酸化炭素排出量(スタッフや出席者の飛行機移動を含む)を換算し、オフセットしています。こうした取り組みは、二酸化炭素の排出量削減だけではなく、雇用や生活環境の改善にもつながっています。

たとえば、2018年の総会を「オフセット」するプロジェクトとして選ばれたのがルワンダの深井戸掘削です。このプロジェクトを通じて、すでに68000人の住民に5000万リットルの水が提供され、水の煮沸浄化に使う木材85000トンの節約を実現しました。

2020年の年次総会については、2つの主要プロジェクトの支援を継続することを決定しました。まず、熱帯雨林の消失が危惧される、アマゾンの東部および南部地域のいわゆる「森林破壊のアーク」において、95000ヘクタールの原生林、持続可能な方法で製造されたゴム、アサイー、ブラジルナッツなどの産地を保護する「ジャクンダプロジェクト」。

もう一つは、バイオガス発生装置で処理した糞尿から生成されるメタンガスをエネルギー源とし、残留物をスイスの農家で肥料として利用する、「グリーンな農家のためのバイオガスプロジェクト」です。

これらの他に、世界的な気候変動対策を牽引するサウス・ポール社と協力し、当フォーラムが支援を行ってきた排出量オフセットプロジェクトの例を紹介します。
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文=Aylin Elci, Communications Officer, World Economic Forum Geneva

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