ビジネス

2020.01.24

「ヴィーガン食」で地球を救う。スウェーデンの宅配ビジネスが拡大

「Enkla Kassen」共同オーナーのJohannes Källgren(右)とPatrik Olsson(左)


さて、食べ物を通して環境問題にアプローチしているJohannesとPatrikは、同じスウェーデンから世界に向けて、地球温暖化について確固としたメッセージを発信している17歳、グレタ・トゥンベリをどう思っているのだろうか。

日本では、グレタのことを「若い奴が生意気なことを言っている」や「まずは学校に行け」など批判的に捉えることもあるようだが、私は彼女の母国にいて、はっきりする主張するその存在がとても自然だと思っている。

私の近所にはグレタのような子が珍しくないからだ。スウェーデンでは相手が子供であっても一個の人格として見るのが常識であり、グレタのことも子ども扱いしたりはしない。10代でも大人としっかりと話ができるもので、移住したばかりの頃、隣に住む13歳の女の子が完璧な英語で私と堂々と話をしてくれたのをよく覚えている。

実際、グレタのおかげで、会社でも同僚と環境の話をよくするようになった。私の周りではここ最近、電気自動車に買い替えた人が何人もいる。事実から目を背けるのでなく、表面的に批判するのでもなく、本質的な議論と行動をすることが必要だと私は考えている。

ビジネス展開も「地球優先」

JohannesとPatrikは、昨今の気候変動を、人類がこれまでの活動で積み重ねてきた結果だと捉えている。信じるとか信じないとかではなく、気候変動は人災であるとして、早急なアクションが必要だと。そして、地球が壊れていくのを横目で見ながら、経済発展が次の世代へ幸福をもたらすという考え方は改める段階に来ているのではと警鐘を鳴らす。

グレタについては共感すると同時に、17歳が素晴らしいコミュニケーションスキルによって多くの人に影響を与えていることに率直に驚いているようだ。また、その行動力に影響を受け、Enkla Kassenのビジネスをもっと広めたいと考えているという。

「Enkla Kassenが提供する食事を続ければ、個人レベルのCO2排出量を80%削減でき、科学者が唱える『2030年までに50%削減』という目標を現実に達成できる。Enkla Kassenのビジネスモデルは、食品業界の転換に大きなポテンシャルとなる」



最後、彼らに、今後は海外進出を考えているかを聞いたら意外な答えが返ってきた。

「各国に支社を構えて金儲けをするつもりはない。それでは地球環境には遅すぎる。それよりも、このビジネスモデルをできるだけ多くの国へ広める方がいい。日本でEnkla Kassenと同じビジネスをやりたい人がいればぜひ応援したい」

やはり、何よりも「地球のため」が徹底されている。ヴィーガンビジネスから地球環境問題の解決へ、彼らの志は高い。

連載:スウェーデン移住エンジニアのライフ&ワーク
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文=吉澤智哉

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