最大規模の出資を受けた企業としては、ジェフ・ベゾスが運営するブルーオリジンや、イーロン・マスクのスペースXが挙げられるが、中国や英国の企業も存在感を高めている。また、レイターステージの企業らがより多くの資金を集めつつある傾向も見えてきた。
Space AngelsのCEOのチャド・アンダーソンは「宇宙関連のスタートアップのエコシステムは健全で、企業らは成熟度を高めている。アーリーステージの企業もコンセプト段階を抜け出し成長期に入った」と述べた。
ジェフ・ベゾスはブルーオリジンに約14億ドルを出資したが、その大半はアマゾン株の売却によって調達した資金だとされた。イーロン・マスクのスペースXも2019年のシリーズJからLラウンドで10億ドル以上を調達し、Pitchbookのデータで同社の企業価値は330億ドル以上とされている。
衛星インターネット企業のOneWebも、ソフトバンクグループとメキシコのグルポ・サリナス(Grupo Salinas)の主導で10億ドル以上を調達した。
国別で最大の勢力と言えるのは米国で、昨年の宇宙分野への投資額の55%が米国に本拠を置く企業向けのものだったが、英国の宇宙スタートアップも全体の24%を占めていた。イギリスは近年、宇宙分野で急速に存在感を高め、スコットランドでの打ち上げ施設の建設が進んでいる。
アリババが支援する企業にも注目
しかし、米国以外の企業で昨年、1件あたり最大の資金調達額を記録したのはアリババが支援するQianxun SI(千尋位置)で、10月のシリーズAで1億4100万ドルを調達していた。出資元の大半は中国の国営企業だった。Qianxun SIはIOTデバイスに数センチ単位の精度の位置情報を提供する、衛星による位置測定サービスを開発中だ。
2009年以降に宇宙関連のスタートアップに注がれた資金の合計は257億ドルで、資金調達を実施した企業数は累計535社に及ぶという。世界の様々な国が宇宙に注力する中で、この数字はさらに拡大していきそうだ。
「宇宙分野での起業家のエコシステムは巨額の資金によって強固さと多様性を増し、グローバルに拡大している」とSpace Angelsのレポートは述べている。