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農家のおばあさんと農作業を体験する民泊ツアーがアジアから来た大学生に大人気だ。日本の農村文化を住民と行政が力を合わせ産業化した「クールジャパンの新局面」。

日本文化全体のうち、海外に伝わっているのはまだほんの一部に過ぎない。地方の酒蔵や古民家、祭りなど日本には世界に発信できる宝がまだまだ眠っています」と話すのは地方活性化を促すソーシャル・プロデュース法人「元気ジャパン」代表・渡邉賢一だ。

 渡邉氏が注目する地域活性化プロジェクトの一つが、仙北市が行う“農家民泊”の試みだ。民泊には旅館業法などの法的しがらみもあるが、同市の場合、行政が主導となりその障壁も突破した。「農家民泊は農家の“手仕事の文化”を訪日外国人らに体験ツアーとして提供するもの。農家に泊まり、その日常の暮らしを体験してもらう。台湾から来た女子大生が農家のおばあさんと一緒に大根を洗ったり、東ティモールの学生らがトラクターに乗って農作業を手伝ったり、通常の観光ではできない体験を提供することが、グリーンツーリズムとして高く評価されています」(渡邉代表)

 仙北市では以前から都会の子どもらに農村体験をさせる「農山村交流プロジェクト」を行ってきたが、2012年から海外の学生らの受け入れを活性化。14年度にはアジア各国を中心に300人以上が訪れる規模に成長した。「自分たちの日々の暮らしがなぜ観光資源になるのか。最初は地元の人たちも理解できなかったと言います。先祖から伝わる地元の文化に価値を見出し、産業化した点は地域イノベーションの試みとして非常に面白い。特に、民間のコンサルティング企業などに頼らず、住人と行政が独自にサービス化を行い、地元の高齢者たちも生き生きと働ける場を生み出した意義は大きい」(渡邉代表)

 渡邉氏が仙北市を初めて訪れたのは10年。内閣官房から任命された「地域活性化伝道師」のミッションとしてだった。渡邉はその後も自身が運営するドキュメンタリーTV局「元気ジャパンTV」の取材で仙北市を訪れ、その映像を世界に向けて発信している。「地元の人々がカタコトの言葉で海外の学生らと交流し、彼らの素朴な暮らしを体験してもらうことが感動を与える姿を映像に残しました。2泊3日ほどの短い日程の中、学生らは農家のまき割りや、イモ掘りなどを通じて地元文化を体験する。帰国する前日、農家のおじいさんが裏山にキノコを採りに行き山菜鍋をふるまうと、学生らは感動して涙を流し、『帰りたくない』と言い出していました」(渡邉代表)

 今、地方の最大の悩みといえるのが人口の減少。秋田県の場合、7カ月で1万人が減ったというデータもある。「そんな状況下だからこそ、地方創生の一つの道として、“別の角度のクールジャパン”を推進し、世界に発信することが重要です。インバウンド観光、食や農業、伝統工芸など、地域を元気にする産業を盛り上げ、海外とダイレクトに結びつけていく。その動きに行政も巻き込んだ働きかけが始まっています」(渡邉代表)

 アニメやファッションといった枠組みを超え、クールジャパンはいま、新たな局面に入った。仙北市の試みは、単なる経済効果以上に、地域のプライドや活力を取り戻す成果を生んだ事例として評価できそうだ。

文=上田裕資

 

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