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フィンランドのサンナ・マリン新首相(Photo by Dursun Aydemir/Anadolu Agency via Getty Images)

フィンランドのサンナ・マリン新首相は、運輸・通信相を務めていた昨年8月に開かれたパネル討論会で、企業が1日6時間勤務・週休3日制を採用することを提案した。マリンは当時、「人は、家族やパートナー、趣味や文化など、生活の他の側面にもっと時間を使うべきだ。これは仕事生活の次のステップかもしれない」と発言していた。

これはフィンランドや欧州を含む世界各地で大きな関心を集め、一部の報道機関ではフィンランド政府が週休3日制を政策として採用する方針だとの誤った報道がされた。首相報道官は、このアイデアは「むしろ社会民主党にとっての未来のビジョンであり、将来の目標となる可能性のあるもの」と説明している。

マリン首相と同様、人は働くために生きるべきではなく生きるために働くべきだと考えている人は多い。米国では、建国者であるプロテスタント信者の労働倫理が現在も残り、骨身を削って長時間働くことが良きこととされてきた。

フィンランドはここ数十年の間に、労働についてさまざまな戦略を試してきた。1996年の労働時間法では、従業員がライフスタイルに合わせて勤務の開始や終了時間を3時間早めたり遅らせたりできるようになった。

隣国スウェーデンの都市ヨーテボリでは2015年、政府が運営する老人ホームで、1日6時間勤務で8時間と同等の報酬を支払う制度が試験導入された。ただ、その結果は一概に良いとも悪いとも言えないものだった。勤務時間短縮により従業員の幸福度と健康度は上がったが、コストと複雑さの面で全国導入は難しいとの結論が出された。勤務時間減による対応時間の空白を埋めるために追加の従業員雇用が必要となり、人件費が維持不能なほどに増えてしまったのだ。

ドイツの電子商取引企業デジタル・イネーブラー(Digital Enabler)も、勤務時間短縮を試験導入した。同社のラッセ・ラインガンス最高経営責任者(CEO)は、従業員が気の散る要素がない環境で仕事に集中すれば5時間で業務を終えることができるという自説を実証しようとした。

ただ、同社ではそのために厳しい管理体制がとられた。携帯電話は鍵をかけて収納することが義務づけられ、ソーシャルメディアは禁止され、異なる部署間の世間話や、外部の家族や友人に連絡を取ることも禁じられた。従業員は最初喜んだが、次第に仕事を時間以内に終わらせるプレッシャーを感じるようになり、外部との接触を絶たれ、きちんとした休憩を取らず働き続けることにも不快感を持つようになった。

編集=遠藤宗生

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