ビジネス

2020.01.21

インドで利用者急増のワッツアップ、「決済機能追加」を画策

Alex Ruhl / Shutterstock.com

フェイスブックの売上は昨年600億ドルを上回ったが、同社の今後の巨大な成長を担うことになりそうなのが、メッセージアプリの「ワッツアップ」だ。

アプリ調査企業Apptopiaのデータによると、ワッツアップは昨年7億6000万件のダウンロード数を記録し、6億1400万件のTikTokを抑えてソーシャル及びメッセージングカテゴリで1位に立った。一般的には成長のピークを過ぎたと思われがちなワッツアップが、これほどまでの新規利用者を獲得したのは驚くべき事態だ。

アプリ関連のアナリストでMobileDevMemoを運営するEric Seufertは、ワッツアップの今後には巨大なポテンシャルが眠ると指摘する。フェイスブックはこれまでほとんど、ワッツアップの収益化に手をつけておらず、同社にとってこのアプリは未開の大地だからだ。

直近の開示資料によると、フェイスブックの1ユーザーあたりの平均売上は7ドル以上だったが、その大半はアジア以外の利用者だった。一方で、ワッツアップが巨大な勢力を誇るのはアジア地域であり、特に直近の伸びの大半はインドでの利用人口の増加だ。

ワッツアップは今後、中国のWeChat規模のアプリに成長する可能性もあり、コミュニケーションだけでなく決済プラットフォームとしての成長も期待できる。フェイスブックは昨年7月、インドでのワッツアップの利用人口が4億人を突破したと発表し、今後は決済機能の追加も計画中であると発表した。

さらに、ワッツアップはアフリカでも利用者を伸ばしており、Apptopiaによるとエジプトやナイジェリア、南アフリカでも数千万人規模で新規ユーザーを獲得中という。

投資会社Fourth Watch African InvestmentsのプレジデントのJerome Lengkeekによると、ワッツアップが新興諸国で支持を高める背景には、ネットのインフラが脆弱なアフリカにおいても、広告を掲載せずデータ消費量の少ないワッツアップは快適に利用可能だからだという。

しかし、フェイスブックはワッツアップのマネタイズに向けて、これまでほとんど意味のある施策を打ってこなかったのが現実だ。その理由をMobileDevMemoのSeufertは、「フェイスブックは適切なタイミングを見極めようとしているからだ」と推測している。
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編集=上田裕資

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