「米国の植民地化」避けたいインド政府
「フェイスブックの利用者数は近い将来、北米や欧州では飽和状態に達する。その時期がやって来るのを同社は待ち構えているのだ」とSeufertは分析した。
フェイスブックは将来的に金の卵を産むワッツアップを大切に育てようとしている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先日、ワッツアップが広告の掲載計画を中止したと報道したが、これは同社が目先の利益よりもユーザーの利便性を優先した結果と思われる。
「新興国のユーザーは、通話アプリの広告にうんざりしている。だからこそワッツアップがここまで支持されるのだ」と、筆者の知人のインド人起業家は話した。
ワッツアップの広告による収益化を断念したフェイスブックが、決済機能の追加やEコマースとの連携に注力するのは自然な流れだ。しかし、ここにもインドでは別の課題がある。
インド政府は現状では、ワッツアップの決済機能の追加を認めていない。国内に巨大なテクノロジー産業を抱えるインドは、デジタル分野で米国の植民地となることを恐れている。インドのフィンテック分野ではPaytmやPhonePe、Mobikwikなどの企業が、巨額の資金を調達し、成長機会を伺っている。
しかし、どのような方法をとるにせよ、フェイスブックが時間をかけて、人口約14億人のインド市場をマネタイズしようとしていることは確かだろう。