1971年開業のシャングリ・ラ・シンガポール。世界に111のホテルを持つシャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツが、最初にオープンしたホテルでもある。VIPの宿泊客が多く、最近では、2018年の米朝首脳会談の際にトランプ大統領が宿泊したことでも知られる。
ちなみにトランプ大統領が宿泊したのは、もっとも豪華なバレーウィングの「シャングリ・ラスイート」で、部屋までプライベートエレベーターで上がれるセキュリティの良さも魅力だ。
また、ホテル内だけではなく周囲のセキュリティも万全で、目抜き通りから少しだけ奥に入ったところにあるにもかかわらず、近隣は大使館が立ち並ぶ閑静な住宅街のため、トランプ大統領の時もそうだったように、要人警護のために道路を封鎖して車両チェックをするのも容易なロケーションだ。
3つのエリアに分かれた都会のリゾート
とはいえ、シャングリ・ラ・シンガポールは、政府要人やビジネスユースばかりでなく、ファミリー層などレジャーの顧客もしっかりとつかんでいる。
このホテルは、広大な敷地を生かし、ゲストのタイプに応じて3つのエリアに分けている。ロビーのすぐそばにあるタワーウィングはビジネスユース、奥まった場所にあるバレーウィングはプライバシーを求めるVIP向け、もう1つのガーデンウィングがファミリー向けだ。
ガーデンウィングは家族連れにはうってつけで、広い敷地内は豊かな緑に囲まれ、ここがかつて熱帯雨林だったことを思い起こさせてくれる。大きなプール、キッズ用の遊び場や託児施設も充実している。天井の高いロビーではよく音楽の生演奏が行われ、明るく開放的な雰囲気に満ちている。それは、まるで都会のリゾートという趣だ。
私が宿泊したのはタワーウィングのクラブフロア、ホライゾンクラブというカテゴリーの部屋。余計なものが表に出ておらず、部屋から出るのが億劫になるほど、静かにくつろげる環境がセッティングされている。
筆者が宿泊したのと同じクラスの部屋
部屋の奥の窓際に大きなデスクがあり、快適に仕事もできる。寝心地の良いキングサイズのベッドやゆったりしたバスタブで旅の疲れもすっかり取れた。アメニティはジャスミンの香りのロクシタン製で、ドライヤーなどが入った化粧台がある。
24時間使えるクラブラウンジが最上階の24階にあり、広いソファ席やテーブル席などで朝食も落ち着いて食べられる。アフタヌーンティータイムには、地元で伝統菓子店のスイーツが提供されるなど、ホテルの外に出ずして、ローカルフードを楽しめる。
お土産も、「シンガポールスリング味」のジャムや、「ラブレター」と呼ばれる薄い生地を丸めたクッキーなど、シンガポールらしさ溢れるものが揃い、わざわざ買いに行く必要がない。周囲に商店などがないため(数分も歩けばオーチャードロードに出るのだが)、リゾートホテルのように、全てがホテル内で完結するようにできている。