ビジネス

2020.01.21

コンコードは次のテックハブになれるか イーストベイ「再興」の試金石

Tudoran Andrei / Shuttertsock.com

ビジネス関係者がカリフォルニア州の「ベイエリア」に言及するとき、ほとんどの場合、それは西側のサンフランシスコやシリコンバレーのテック集積地を指している。だが、今では信じられないかもしれないけれど、かつてベイエリアの中心地と言えば、東側のイーストベイだった。昔のイーストベイは鉱業や石油精製、製造業、コムギ栽培などの産業が栄え、州都もバレーホ(1852年)、ベニシア(53年)、サクラメント(54年〜)とこちら側に置かれてきた。

その後、シリコバレーなどの台頭で影が薄くなったイーストベイだが、ベイエリアの次のテックブームの本拠地として期待されている都市もある。サンフランシスコから50キロほどしか離れていないコンコードだ。ただ、その実現のためには、15年にわたって続いてきた、コンコード海軍兵器基地跡地(約20平方キロ)の開発に関する交渉がまとまることが条件になる。

跡地を巡ってはこれまで、コンコード市、海軍と、住宅建設大手のレナーから分社化したファイブポイントが協力して、マスターリース(一括借り上げ)に向けたロードマップの作成を進めてきた。プロジェクトのリーダー役は、ベイエリアの不動産開発の第一人者で、ファイブポイントの最高執行責任者(COO)のコフィ・ボナー。過去にサンフランシスコやオークランド、エメリービルなどの重要な開発プロジェクトを手がけ、全米の注目を集めたこともある人物だ。

「コフィがエメリービルでやった仕事は目を見張るものでした。今ではバイオテックやシンセティックバイオの世界的な企業が数多く進出していて、コンコードの新たな開発でも同様のことが起きる可能性があります」と地元不動産ブローカーのエド・デル・ベッカーロは話す。持続可能な不動産開発で知られるキー・ヘイズも「典型的なオフィスや小売店、住宅だけでなく、全ての人が利益を得られるように経済が回る、21世紀にふさわしいコミュニティーをつくり出せるかもしれません」と期待を寄せる。

コンコードの開発計画には、持続可能なインフラの整備や生活の質の確保、手が届く価格の住宅の供給などが含まれる。特に手頃な住宅は、ベイエリアの住宅価格が高騰するなか、誰もが一番に希望するものとなっている。
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編集=江戸伸禎

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