独裁者は嫌われるとは限らない? 必要とされる場面とは

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例えば、素晴らしいアイデアをたくさん持つチームが、その実行はへたくそであることはよくある。企業は過去数十年の間、業界を一変させるような画期的なアイデアを崇拝する傾向にあり、次のiPodやiPad、iPhoneなるものを発明したいと考えている。ただ、そうした企業が忘れてしまいがちなのは、こうした製品の背後には素晴らしいアイデアがあっただけでなく、それがほぼ完璧に近い形で実行されたことだ。

あなたもおそらく、壮大なアイデアがあるものの実行力に乏しい同僚と会議をした経験があるだろう。会議の途中で「このアイデアはばかばかしい。もっと良い考えがあるから、それをやってみよう」と言い出すような人だ。こうした人は慣習に逆らうことが大好きで、時にチームの思考を根本から変えるアイデアを提供できる。

しかし、チームが現在のアイデアを1カ月以上、あるいは半年にわたり温めていて、細かな実行計画を立ててテストや改善を重ねてきた場合、こうした発言には非常にいらだたしいものだ。チーム内の関係が台無しになるだけでなく、フォーカスが難しい実行の課題ではなく、壮大で魅力的かつ画期的なアイデアにそれてしまう恐れがある。

自分のグループを少し独裁的に率いることが必要かどうかを見極める方法の一つに、会議の終了時に具体的なタスクとその締め切りが明確化されていることがどれほど頻繁にあるかを考え、こうしたタスクが実際に達成される頻度を調べることがある。

例として、私が行った「なぜ最高経営責任者(CEO)は解任されるのか?」という調査の結果をみてみよう。CEOが解任されたり、辞任を余儀なくされたりする理由は「現在の財務成績」だと一般的に思われているが、それは間違いだ。私は、CEOの解任や辞任が起きた286の企業や団体、医療機関の役員1087人に対し、4年にわたり聞き取り調査を行った。その結果、口先ばかりで行動が足りなかったことを理由に解任されたCEOは全体の22%に上った。

私は調査中、有言実行できないCEOについてのコメントを多く耳にした。壮大なビジョンや新たな戦略について無限に語ることができるのに、「誰が何をいつどこで」実行するのかについて戦略計画を作成せず、導入の証拠を見せることができないCEOについて、多くの役員が不満を漏らしていた。

壮大なアイデアは素晴らしいものだが、明確な実行が伴わなければ会社やリーダーのキャリアにとっては問題だ。上記があなたのグループに当てはまるようならば、独裁的なリーダーシップを少し導入してみるべきかもしれない。

部下が自分に何が期待されているかを明確に理解していなかったり、素晴らしいアイデアはあっても実行できなかったり、あるいは時間通りに物事が実行できなかったりする場合は、部下の性格的特徴によっては独裁的なリーダーシップが良い結果を生むかもしれない。

編集=遠藤宗生

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