独裁者は嫌われるとは限らない? 必要とされる場面とは

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現代的な働き方が浸透しつつある今、独裁的なリーダーを好む人がいるかもしれないと言うと、邪教的な扱いを受けてしまうかもしれない。独裁者をインターネットで検索するとアドルフ・ヒトラーらが代表例として出てくるが、独裁的なリーダーはファシストとは異なる。

独裁的なリーダーは、他人の仕事のやり方などをコントロールしたがるもので、確かに優しい人物ではない。一般的に理想とされるリーダー像ではないが、独裁的なリーダーを好む人は実際に存在する。

私が創業したコンサルティング企業「リーダーシップIQ」は、1万4000人以上を対象に独裁的なリーダーに関するアンケート調査を行った。調査では、対象者の理想的なリーダー像について聞くとともに、回答者を数十の性格的特徴に基づいて評価し、どんな性格の人が独裁的なリーダーを好む傾向にあるかを調べた。

独裁的なリーダーの特徴の一つに、部署内で最終的な意思決定を下す権限を常に保持していることがある。調査では約21%の従業員が、最終的な意思決定を下す権限を常に持つリーダーを理想としていた。多数派ではないものの、予想よりも大きな割合だ。

しかしそれよりも大きな問いとして、どのような人が独裁者を理想としているかがある。調査では、独裁的なリーダーを好むことと強く結び付く7つの性格的特徴が明らかになった。

そうした特徴の一つに、規則に従う性質がある。人は言われたことに従い規則を守るべきだと信じていた人は、部下に対して仕事のやり方を細かく指示するリーダー(独裁的なリーダー)を理想とする傾向にあった。一方、規則を破りがちな人や、多少の不秩序を好む人は、独裁的なリーダーに大きな苦痛を感じる傾向が高い。

独裁的なリーダーに従う人は、他のタイプのリーダーに従う人よりも慎重だった。こうした人はまた、良くない結果を招く危険を犯すより安全な道を取った方が良いと考える傾向にあった。

これは独裁的なリーダーを持ち上げるというよりかは、リーダーや従業員の状況をよりきちんと理解・検討し、特定のリーダーシップスタイルに知られざるメリットがあるかどうかを考えるよう促すものだ。

これとは別に50万人以上のリーダーを対象にそれぞれのリーダーシップのスタイルについて聞いたインターネット調査では、独裁的なリーダーシップを好む人は少数派であることが判明した。これは必ずしも悪いことではないものの、独裁的なやり方を取り入れることが役に立つ場合もあるかもしれない。
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編集=遠藤宗生

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