FRBは怪物級のバブルを生み出している

ニューヨーク連邦準備銀行(Allen.G / Shutterstock.com)

問題を無視するとき、その問題が解決することはめったにない。問題には対処する必要がある。問題の影響に対処するだけでなく、根本的原因にも対処しなければ、状況はたいてい、更に悪化する。

先進国、とりわけ米国では急速に、経済的状況がそうした段階に達しようとしている。これは中国でも同様だ。10年前なら(いや、5年前でも)簡単に解決していたはずのことが、じきに、定石どおりの方法では解決できなくなってしまうだろう。

その責任は中央銀行にある。ある意味で、中央銀行は選挙で選ばれた政治家よりもはるかに大きな力を持っており、はるかに危険でもある。

状況は良いとは言えない。そして、それに財務上のごまかしが加わると、事態はもっと悪くなる。

みずからの過ちを正す

中央銀行はこれまで、常に無責任だったわけではない。

19世紀に「エコノミスト」紙の編集長を務めたウォルター・バジョット(Walter Bagehot)は1873年の恐慌時に、のちに中央銀行向けの「バジョットの格言」と呼ばれるようになった主張を行った。金融危機や流動性危機の際には、中央銀行は「最後の貸し手」として、高い金利で、かつしっかり担保をとったうえで、気前よく金を貸すべきだという主張だ。

アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は1913年、それまでたびたび発生しては悪化の一途をたどっていた恐慌や銀行破綻に対する理論上の対抗策として誕生した。FRBの功績は、1945年までは明らかにムラがあり、20年代と、とりわけ30年代には、いくつものまちがいを犯した。さらに、70年代の金融緩和政策とばらまきはインフレ危機をもたらした。

1979年から1987年まで第12代FRB議長を務めたポール・ボルカー(Paul Volcker)が2019年12月に亡くなった際には(冥福をお祈りしたい)、FRBの最良ともいえる時代が思い出された。ボルカーが議長を務めていた当時のFRBは、たくさんの人々の暮らしを脅かしていたインフレを抑え込んだ。しかしボルカーは、過去の過ちのせいでそうしなければならなかったにすぎない。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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