夫妻は英国よりも、カナダで幼い息子のアーチーを育てたい考えだ。だが、そこで重要な問題の一つとなるのは、一家の在留資格であり、永住権を取得することが可能かどうか、就労許可を得ることができるかということだ。
王室メンバーが他国を訪問することと、他国に在住し、働くことはまったく別のことだ。そこには市民権の問題がある。カナダ紙ナショナル・ポストはこれについて、次のように報じている。
「カナダ国王(エリザベス女王)の孫であること、そして王位継承順位6位であることから、ヘンリー王子はカナダでも何か特別な地位を取得することができるのだろうと考える人もいるかもしれない。だが、サセックス公爵にも、女王のその他の子や孫たちにも、そのような特権はない」
「女王は希望する限りカナダ国内に滞在することができるが、その女王でさえ、カナダの市民権は保有していない」
ヘンリー王子はその他の英国民と同じ条件で、カナダに入国することになる。そして、英国民は誰でも、ビザなしで最長6カ月間、カナダ国内に滞在することができる。これは、米国民にとっても同じことだ。
つまり、ヘンリー王子とメーガン妃の計画は、短期的には少なくとも年に2回、カナダとイギリスの間を行き来するというものになる。ただ、そうしていれば、メーガン妃の英国の市民権取得には影響が及ぶ可能性はある。
一方、メーガン妃はすでにカナダの永住権を取得しているのではないかとの見方もある。ヘンリー王子と一緒に暮らすために2017年11月に英国に移住するまでの7年間、同妃は女優として出演していたテレビドラマ『スーツ』の撮影のため、1年のうち9カ間をトロントで過ごしていたからだ。
メーガン妃がこの間に、文化活動またはスポーツの分野で経験を持つ人が取得できる「自営業者」として永住権を申請していたとすれば、すでに取得しているとも考えられる。
カナダの永住権を取得しているとすれば、メーガン妃は同国内に居住し、分野にかかわらずどのような仕事にも就くことができる。そして、ヘンリー王子は配偶者ビザを取得することができる。息子のアーチー君にも、ビザは発給される。
いずれにしても、永住権を取得してカナダに3年間居住すれば、カナダで市民権を申請する資格が得られる。申請すれば、二重国籍を持つ取得することが可能だ。
カナダ放送協会(CBC)がカナダ市民を対象に行ったインタビューによれば、全体としてはヘンリー王子一家がカナダで暮らすことについて、肯定的に受け止めている人が多いようだ。王室メンバーとして、英国では守ることが難しい夫妻のプライバシーも、カナダでなら守られるだろうとみる人も多い。
メディアとヘンリー王子のトラウマ
ヘンリー王子は昨年10月、妻メーガン妃に向けられるメディアの注目が、パパラッチに苦しめられた母のダイアナ元妃を思い出させるとして、次のように述べていた。
「カメラのシャッター音を聞くたび、フラッシュを見るたびに、過去に引き戻されます。最高のものとは対極にあった母の人生を、最悪の形で思い出させるのです」
「(英国のメディアを提訴した)この行動は、安全なものではないかもしれません。ですが、正しいものです。なぜなら、私が最も恐れるのは、歴史が繰り返されることだからです...私は母を失い、そして今、妻が同じ強い力の犠牲者になるのを目の当たりにしています」