挑戦する人と挑戦する企業をつなぐ、Forbes JAPAN 初の採用ブランディング

「お寺のある暮らしをつくる」を理念に掲げ、現代のニーズに合った新たなお寺やお墓の在り方を再構築する......お墓とお寺のコンサルティングを手がける、アンカレッジという組織がある。

そう聞くと、問題意識を持った住職が立ち上げたのだろうかと想像するが、実際は真逆だ。

代表を務めるのは、お寺とは全く無縁だった伊藤照男。業界を客観的に捉え、慣例に縛られることない改革を続ける旗手は、縮小傾向にあるとも言われるお寺・お墓の業界に、一体どんな夢を見るのか。

私たちにとって、お寺とはどういう存在なのか

「もともとは、お寺やお墓に対する特別な関心はありませんでした」

これは、伊藤の言葉だ。大学卒業後、新聞記者として全国各地を飛び回る生活を経て、不動産業界へ。その後、起業を考える中で、お寺とお墓の未来について模索している住職がいると紹介され、この世界に飛び込んだ。

知らない読者の方も多いかもしれないが、お寺の業界は斜陽産業と言われている。人が離れ経営が成り立たないケースは、珍しい話ではない。

苦境に立たされた業界に飛び込むなど、普通は敬遠するものだが、伊藤はむしろ問題意識と参入の意義を感じたと、当時を振り返る。

「日本の人口が頭打ちしたから、世間が宗教離れしているから、お寺も苦しくなっていると言いたがる人もいるが、それだけが理由ではない。なぜ必要とされなくなっているのか。当事者たちですら、お寺やお墓の本質的な問題に向き合っていない状態が続いていたのです」

お寺はこういうものだと押し付けるつもりはないが、一般の人たちが思い描くお寺像を、住職たちに強制することも違う。「双方にとって心地よいあり方」がきっとあるはずだ。みんなの暮らしの中に自然とお寺がある。

そして当然、お金や人のマネジメントもきちんと行い、お寺の経営が継続できる状態をつくる......その思いから、「お寺のある暮らしをつくる」という理念は生まれた。

「勉強したり出会いの場所になったり。お茶を飲む憩いの場所になってもいい。一人ひとりの暮らしのワンシーンにお寺が存在できたらいいんじゃないか」。お寺イコールお墓、という固定概念を崩すことも大切だと考えた。

新しいことを仕掛けるからには、具体的な成功事例をひとつずつ積み上げて、業界の中で存在感を示していくしかない。伊藤の強い決意は、次第に結果として現れはじめた。

前提を疑い、固定概念を壊した。そして生まれた、「都会の樹木葬」

アンカレッジの手がける「都会の樹木葬」は、NHKをはじめとしたメディアをも巻き込んで大きな反響を呼んだ事例のひとつ。ちなみに樹木葬とは、霊園墓地内にある自然の樹木・草花の下に遺骨を埋葬する葬送だ。

2013年、同社が都内でお墓のコンサルティングを手がけはじめた頃のこと。すでに樹木葬のスタイルは世の中に存在していたが、一般的には山の中に位置し大きなシンボルツリーがあるようなお墓が樹木葬とされていた。つまりは、樹木葬=地方のものという認識だ。

「緑の少ない都心部での樹木葬は、樹木葬とは呼ばない」と後ろ指を刺されることを覚悟の上で、伊藤はあえて、都内で花と緑に囲まれた美しいお墓を展開した。

すると、お墓の検討に訪れる顧客たちから、想像していない反応が返ってきたというのだ。

「まさに都会型の樹木葬ですね、これは」「都心で花と緑がいっぱいの樹木葬ができるなんて」。感激を伝えてくれる顧客の様子に、伊藤は、自分の感覚は間違っていないという確信を持った。今やお墓のジャンルのひとつともなった「都会の樹木葬」は、こうやって生まれたのだった。



伊藤はこのことについて「結果論ですけどね」と謙遜するが、顧客の声を直接収集しながら微調整していくこと、コンセプトを貫くことなど、圧倒的な努力がもたらした結果であることは、間違いない。

新たに本堂を建設したばかりの、増上寺の真裏に位置する芝庭苑もひとつの成功事例だ。

アンカレッジが掲げたコンセプトは、「男性に敬遠されてでも女性に好まれる」。八方美人で全方位的に好まれようとすると、誰の印象にも残らない。

だからこそ、徹底して女性の気持ちを考えた。ブーツを脱がなくても建物内に上がれるような設計にしたり、導線を含めて気持ちよく使えるトイレを設置したりと、細やかな心配りを徹底した。

「ターゲットはブラさないし、ターゲットの声を逃さない。チラシのつくり方ひとつ、お客様への接客の仕方ひとつ、すべては仮説と検証です。お寺はもちろん、訪れていただく方にいかに喜んでもらえるか、ただそれだけ」

ジャパニーズ仏教を、世界へ

さらに伊藤は、「雲をつかむような話ですけど、いつか実現できたら」と、海外へと視野を向けた事業展望を語ってくれた。

「ジャパニーズ仏教は世界のセレブリティから注目を集めているんです。例えばサンフランシスコではたしなみのひとつとして、仏教を暮らしに取り入れることが流行なんですよ」

故・スティーブ・ジョブズが最終的に傾倒したのが日本仏教だと言われるように、グーグルをはじめとした企業がマインドフルネスを重視しているように。

日本の仏教に対する期待を感じているが故に、「きちんとした形で残すことで、例えクリスチャンだろうとイスラム教徒だろうと、分け隔てなく、日本の仏教には共感してもらえる要素があると思う」

例えば、海外で布教したいという人物が、現地で寺院を建立したいと考えたときに、法律的・経済的なサポートをはじめとした、すべてのサポートを担う存在になること。

また、海外で納骨したいという希望に応えるために、海外での樹木葬の可能性を模索すること......海外進出への構想は膨らむばかりだ。



LGBTフレンドリー、リモートワークOK…...最先端の思考で進み続ける

日本を飛び出して、海外へ。アンカレッジの活躍の場を広げていくために大切なことは何だろうか。

伊藤に問いかけると、「アンカレッジのスタッフが、自分たちがやっていることを正しいと信じることができて、心から商品に自信を持てること」という答えが返ってきた。

「お客様を欺くようなこと、自分たちの信念に反するようなことをやっている企業なんて、すぐにあぶり出される時代です。何より自分たちが扱っているのが、お寺やお墓というエモーショナルなものだからこそ、信念を貫くほどに商品に価値が出る。あとはきちんと会社が存続できるように、マネタイズの工夫をすること。これは社長である僕の仕事ですね」

会社としてLGBTフレンドリーを明確に打ち出し、性別不問の受け入れ体制を示していることも、働き方としてリモートワークを推奨し、信頼の上でそれぞれの暮らしを尊重していることも、アンカレッジの企業姿勢の表れだろう。

お寺やお墓の問題は、誰しもが避けて通ることはできない。しかし、結婚式や出産といった前向きな印象とは異なり、お寺やお墓のビジネスというのは、どうしても明るさだけでは片付かない印象が残る。

取材も終盤になり、一般的に飛び込みづらい業界ではないかという、率直な問いかけてみた。すると、伊藤はこう一蹴した。

「不動産のディベロッパーさんなんかが、“地図に残る仕事”という表現をしますが、お寺の仕事はまさに地図に残る仕事なんですよ」

アンカレッジがお手伝いしている中で最も歴史があるのは、兵庫県は明石市にあるお寺だが、1,200年前の地図を見てみると、お寺の印以外何もない。

つまり、その頃の風景と今私たちが目にしている風景で、合致するのはお寺だけだというのだ。

それは何も過去の話だけではない。これからもきっと、橋や道路の建設は続き、老朽化したビルは建て替えられるかもしれない。そうすれば、風景は様変わりしていく。変わらず残っているものがあるとしたら、きっとそれはお寺なのだ。

そんなエピソードを披露しつつ伊藤は微笑んだ。「お寺やお墓をつくる仕事って、すごくロマンがあると思いませんか」

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