この企業は、最先端の工場や自動運転車を擁する新興企業ではない。むしろ、あなたの最寄りの食料品店にIoT革命をもたらす、陰の立て役者と言える存在だ。
食料品店チェーンは今、テクノロジーを先を争うように導入していると、12月3日付けのブルームバーグ特集記事は伝えている。その動機としては、3分の1は現代化、3分の2は存続の危機に対する切迫感が挙げられる。
理由は何にせよ、これは投資家にとってチャンスと言える。
この30年間というもの、食品小売業には大きな変化がなかった。前述のブルームバーグ記事でも、この業界における最新の技術革新はバーコードスキャナーだったと指摘されているほどだ。
理屈の上では、こうした小売店で扱う商品に、全世界共通のスキャン可能なコードを付与すれば、サプライチェーン全体でその動きを追いやすくなるはずだ。それでも小売店の多くは、今でも変わらず、棚に陳列された商品のチェックにかなりの人的資源を割いている。
こうした状況を打開しようと、多くの企業が、商品棚をスキャンするロボットやセルフレジのシステムを開発する新興企業に接触している。
さらにここに来て、アマゾン・ドットコムが食品小売業に本腰を入れ始めた。当然ながら、業界の他の企業はこの動きを懸念している。
アマゾン・ドットコムは2017年に米国のスーパーマーケット・チェーン、ホールフーズ・マーケットを買収し、食品小売業に進出した。しかし、食品の購入行動に革命を起こすとみられているのは、同社が運営するコンビニエンス・ストア「アマゾン・ゴー」だ。
全米で22店舗を展開するアマゾン・ゴーには、レジがまったくない。買い物客は店内に入り、必要な品を手に取って、買い物袋に入れたら、あとは店を出るだけだ。店内に配置されたカメラが、棚から取り去られた品をチェック。店を出た顧客のアマゾン・アカウントにデジタル請求書が送られる仕組みになっている。
顧客は、店に入ってから出るまで、完全にストレスフリーで買い物ができる。直近で食料品店で買い物をした時のことを思い出して欲しい。その時の体験について、同じことが言えるだろうか?