「IoT革命、意外な勝ち組銘柄」は、あの日本企業

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ソニーは2019年10月30日に発表した2020年3月期第2四半期(2019年7~9月)決算で、同四半期としては過去最高の営業利益を計上した。最高財務責任者(CFO)の十時裕樹は、この好決算の要因として、センサーの堅調な需要と、IoTへの採用の増加を指摘した。さらに同氏は、新たなイメージセンサー工場の建設計画が正式決定したことも明かした。

この建設計画は当初、スマートフォン向けセンサーの需要増に対応するために進められたものだったが、実際に生産されるセンサーの大部分は、IoT関連機器に用いられるとみられる。

とはいえ、ソニーへの投資を考える投資家が考慮すべき、気がかりな点がある。アメリカのヘッジファンド、サード・ポイント(Third Point LLC)のポートフォリオ・マネージャーを務めるダニエル・ローブ(Daniel Loeb)が2019年4月、ソニー株式の買い増しに乗り出したと、ロイター通信が報じたのだ。

「もの言う投資家」として知られるローブがソニー株式を大量保有するのは、この6年間で2度目だ。同氏は過去にもソニーに対し、株主価値向上のためとしてエンターテインメント事業を分離するよう要求したことがある。

ローブが率いる、1995年に設立された投資会社サード・ポイントは、イベント・ドリブン戦略(企業の合併・買収、再編・提携、新商品開発といったイベントが発生することを予想してポジションを取る運用手法)、バリュー重視の投資方針を掲げている。

今回、ローブが標的にしているのが、ソニーのセンサー事業だ。

ローブはソニーに対し、半導体事業を手放し、時間とリソースをエンターテインメント部門に集中させるよう求めている。同氏は、現状を維持するよりもバイアウトを実施する方が、より多くの利益を生むと確信している。テクノロジー部門を欠いても、ソニーにはソニーの名を冠した各種エンターテインメント部門と、家庭用ゲーム機のプレイステーション・シリーズという財産があるというわけだ。

これは近視眼的な考えだ。幸い、ソニーはこのような提案に飛びつくつもりはないようだ。

IoTの多様な応用例の未来が、これらのセンサーにかかっていることを、ソニーは承知している。同社がセンサー部門での強みを生かし続ければ、スマートフォンの場合と同様に、IoTに関しても圧倒的なシェアを獲得するだろう。

センサー部門が前年同期比59%増となる764億円もの利益を叩き出している今なら、ソニーは、根拠を持ってローブの要求をはねつけることができる。

実際、ソニーの株価が60ドルの節目を超えて上昇したのも、センサー部門の利益増によるところが大きい。

ソニーの時価総額は約10兆255億円、予想PERは18.55倍だ(1月14日現在)だ。IoT分野の将来性を考えると、これには値ごろ感がある。

ゆえに投資家はソニー株に関して下げ局面があれば、絶好の買いのチャンスと捉えるべきだろう。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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