香港の高級ブランド店閉鎖、ドミノ倒しは始まったばかり?

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香港で2019年から続くデモは、小売業への“包囲網”をますます狭めている。当初は週末に行われていた抗議活動は平日にも行われるようになり、参加者たちが集まる場所は、ショッピングエリアにも広がっている。

繁華街の銅鑼湾(コーズウェイベイ)では昨年、予定されていたシャネルのファッションショーの開催が延期され、LVMH傘下のスーツケースブランド、リモワも開店を見合わせた。

同地区は特に大きな影響を受けている。プラダは昨年8月、2020年6月にリース契約の期限が切れた時点で、ラッセルストリート店の営業を終了すると発表。ルイ・ヴィトンも今年に入り、ショッピングモール「タイムズスクエア(時代広場)」内の店舗を閉鎖する方針を明らかにした。

ルイ・ヴィトンは香港に、ほかに7店舗を開いており、それらの営業は継続するという。また、2021年に予定されている香港国際空港内の新店舗オープンの計画にも、変更はないとのことだ。だが、それでもコーズウェイベイ店の閉鎖は、同ブランドを率いるLVMHにとって痛手となるだろう。2018年の売上高468億ユーロ(約5兆7300億円)のうち、約6%を占めたのは同店の売り上げだ。

香港ではカルティエを傘下に持つリシュモン、スウォッチグループ、ティファニー、モンクレール、グッチ、サルヴァバトーレフェラガモ、ラルフローレンなど、その他のブランドも同様に売上高を減らしている。特に影響の大きかったグッチやフェラガモは、45%近い減収を記録した。

一方、エルメスは香港での減収を明らかにしているものの、中国本土では増収になっているとして、現状を乗り切ることは可能との見方だ。LVMHもまた、同様の姿勢を維持する。だが、ロイターが報じたところによれば、LVMHの香港での2019年第3四半期の売上高は、およそ25%減少している。

すでにリセッション入り

長引くデモで、香港経済は低迷。政府は昨年11月半ば、7~9月にGDPが3.2%減少したとして、リセッション入りしたことを認めた。同地の小売業界は、とりわけその痛みを感じている。10月には売上高が前年比24.4%減少。11月には同23.6%減となった。
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翻訳=木内涼子

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