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2年前に交わされた熱い握手。街全体でリニューアルを盛り上げる


西武ゆうえんちは1950年に開業し、日本の高度経済成長期と並走する形でファミリー層からの人気を集めてきた。のちに神武景気と名称が付けられる好景気の後押し、そして日本初のオリンピック、東京の人口が多摩ニュータウンや埼玉の所沢など郊外へ移ることで、この魅力的なレジャー施設も大きく成長を続けた。そして1978年にはライオンズが所沢にやって来た。これで西武ゆうえんちと西武球場を合わせた所沢は飛躍の最高潮に達していくことになる。

西武ゆうえんちの入場者数の推移グラフは大きく右肩下がりになっている
開業年で言えば後楽園ゆうえんちの方が数年遅い。エンターテインメントとスポーツという最強の組み合わせは「都心」と「郊外」で競いあう時代となったが、90年代から徐々に厳しい時代を迎える。

西武ホールディングスは2019年5月、2019〜2021年度中期経営計画を発表、後藤は「新たな視点でスピード感をもって“イノベーションに挑戦”する」とし、シフトチェンジから収穫・開拓期と位置付けた2019年までの計画を踏襲しつつ、第二成長期へ移行する只中にある。

ただ、西武ゆうえんちに関しては、上記のグラフの通り、2018年の年間入場者数が49万人と、ピークの4分の1にまで減少。後藤の経営手腕によって西武ホールディングスの連結業績を着実に伸ばすも、大きな課題のひとつだったはずだ。

後藤は言う。

コンセプト写真を前に語る西武ホールディングス後藤社長

「西武ゆうえんちの70周年を機に決断しました。大事なのは、リニューアルした開業後の持続的な成長。1年でドラスティックに変わるのではなく、シナジーが毎年実績となっていくことです。拠点である所沢の大規模開発、球場のボールパーク化、グループ各社の連携で所沢を訪れたい場所にしたいのです。地域を盛り上げ、所沢から埼玉県、そして関東、全国に元気を盛り上げるのです」

森岡がそれに応える。

「みんなに勇気を与える場所にしていきたいのです。東京一極集中は良くない。これは日本の課題でもあります。所沢に人を動かすというチャレンジは重要なのです。決してハードルは低くないですが、持続可能な仕組みを生み出すこと、ポテンシャルを生み出すことが大事なのです」

記者の前でコンセプトを熱弁する刀の森岡社長

刀は創業して3年目になる。2年前、森岡がまだ独立して間もない頃、後藤から「会いたい」と連絡があったとそうだ。通常、案件を受ける際には事前に調査し、成功の確率を見極めながら受注する森岡だが、尊敬する大先輩の所沢を盛り上げる熱い思いに共感し、「後藤さんの期待に応えなければ」と、思わず握手したという。

成功の公式は、西武ゆうえんちという高いハードルを超えることができるのか。古さを魅力に変える戦略は活きるのか。2020年の秋には、さらに踏み込んだ発表がなされるという。都市部以外のレジャー施設の課題は日本の課題でもある。全国から注目される事例になることだけは間違いないだろう。

文=坂元耕二 写真=西川節子

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