僕にとって大きかったのは、(人形浄瑠璃文楽の語り手である)六代目竹本織太夫さんとの出会いです。のちに友達になってから、太夫さんの生活とはどういうものか、観客席からは見えない部分の話を聞きました。
舞台の厳しさを目の当たりにすると、文楽に携わっている方々に対して無条件のリスペクトが沸いてきます。織太夫さんに限らず、すべての太夫、三味線弾き、人形遣いのみなさんが舞台で見せてくださっていることは、当たり前にはできないことです。それを、当たり前にやるということに対する敬意を、劇場空間でひしひしと感じます。
文楽の殿堂、大阪の国立文楽劇場
織太夫さんとは同世代。彼がこれから文楽の世界で積み重ねていくものを、同じ分だけ齢(よわい)を重ねながら、自分の人生とともに楽しみたいと思っています。
いつかは親子で観にいきたい
子どもが生まれたら、いつか一緒に文楽を観にいきたいなと思います。子どもが何かを感じるきっかけをつくってあげたいんです。
僕は、自分の子どもには、何をやってもいいし、何を目指してもいいから、とにかく自分に何が合うのかを判断するだけのさまざまな経験、そして選択肢を与えてあげたいと思っています。世界ってこんなに広いんだ、いろんな選択肢が人生にはあるんだってことを、教えてあげたい。
そんなふうに、文楽とはこれからもお付き合いをさせていただきたいなと思っています。
小泉進次郎◎1981年、神奈川県横須賀市生まれ。関東学院大学卒。米国コロンビア大学にて政治学修士号取得。米国戦略国際問題研究所(CSIS)研究員を経て、2009年より衆議院議員。13年に内閣府大臣政 務官・復興大臣政務官に就任。19年9月より環境大臣兼原子力防災担当大臣。落語好きでも知られ、18年には「落語を楽しみ、学ぶ国会議員の会(落語議連)」設立。