ショックを受けていると、隣で一緒に聞いていた、顔が小さくてモデルのようなスタイルの持ち主の韓国人の女の子も続けた。
「私も小さい頃から父に食事制限をさせられてたわ。お菓子を食べると太る、といつも言われて満足に食べられなかったのを今でも覚えている。それに実は私、整形しているの。顔だけじゃなくて脚も脂肪吸引している。みんなには内緒ね」
頭脳だけでなく綺麗な容姿も兼ね揃えていないと、激化する競争の中で生き残れない、または排除されてしまうという現象が韓国では起きている事実がある。多くの韓国の女性がダイエットに明け暮れたり、証明写真1枚撮るにも評判の良いスタジオを必死に探してお金をかける理由が、痛いほどわかった瞬間だった。
今、世界的にどんな体型の人もありのままが美しいという「ボディ・ポジティブ」の考え方が広まっており、ファッションブランドも多様なサイズを揃えるようになってきている。そのような寛容さが韓国でも広がってほしい。
若者は韓国を見捨てるのか
息苦しさを感じる現代の韓国社会。それでも若者たちは生き延びようと、勉強を続ける。多くの学生が留学をするのも、この競争社会で生き残るためだろう。
韓国の教育統計サービスによると、2019年に海外留学をした韓国人学生の数は21万3000人。韓国経済の不況によりここ数年で一番少ないと言われているが、それでも日本人留学生の数、約10万人と比較するとかなり多い。
筆者も海外旅行や留学をするたびに、韓国人の多さに驚く。幸い韓国は老若男女問わず好奇心が旺盛なのか、時間とお金があれば、外にたくさん出かける傾向があると思う。
今を生きる希望ある若者たちが海外で学び、その成果を韓国に持ち帰り社会に反映させると、韓国も少しずつ変わっていくのではないだろうか。絶望を抱いて挫折してしまうのではなく、希望を抱いて海外で学ぼうとする韓国の若者たちに期待し、共に刺激を受け合いたい。