韓国人の大学生が韓国から脱出したいと思う理由

Getty Images(Chung Sung-Jun / スタッフ)


韓国ドラマを見ていると、ライバルたちがあの手この手で主人公を蹴落とそうとするシーンがよく出てくる。そういったシーンは実は、韓国の国民性を象徴している。隣の家が立派な新車を買うと、自分たちも買わずにはいられない。建前上仲良くしていた隣人が家を買うと、自分たちも新しい家を欲しがる。そんな人も少なくない。

先ほどの受験の話でもそうだ。近所に住んでいる子供が名門校に入学したら、心から祝える家庭はどれほどあるのだろうか。「他人の幸せは自分たちの気分を害す」「お金と権力が全て」そんな価値観の人も少なくない。

韓国の若者の間で一番人気のある職種はご存知だろうか。大体想像がつくかもしれないが、アイドルだ。もちろん、歌やダンスが好きだからという人もいるが、「稼げるから」という理由も大きい。現在活躍しているアイドル、または練習生たち、どれくらいの人が心の底から歌やダンスを愛しているのだろうかと思うことがある。

仮にアイドルになって「成功」したとしても悩みは解消されない。次は嫉妬の嵐が待ち受ける。「正義」を振りかざす監視の目が彼らをストレスに追い込む。

高額な報酬をもらっているアイドルには完璧さが求められ、小さな誤りも許されない。仮に彼らが少しでも間違った行動をすれば、叩き潰すように大衆が責める。結果、ストレスを抱え活動休止に追い込まれることもあるし、自殺に至ることもある。

彼ら、彼女らがそこまで追い込まれる理由の根源はなんだったのだろうか。韓国社会は彼らが叩き潰されてしまう前に、チャンスを与えたのだろうか。この異常さに、どれほどの韓国人が真剣に向き合っているのだろうか。

韓国 大学生 悩み
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「ありのまま」を受け入れられない


イギリスにいた頃に知り合った、1人の韓国人の女の子のことが今でも忘れられない。彼女はクラスでもムードメーカー的存在。いつも明るくみんなに平等で優しかった。また、彼女は西洋の文化が好きで、アジアではあまり見られない、暗めの色を多く取り入れた濃いメイクや、黒を基調としたファッションを好んでいた。

ある日彼女と故郷の話をしていた時のこと。今までに見たことがないくらい悲しい顔をさせてしまった。イギリスに来て随分経っていたようなので、「韓国に早く戻りたいか」と質問すると「あんなところ、家族がいなかったら一生戻りたくない」と冷淡な顔で答えたのだ。

「私は韓国にいると怪物扱いされるの。太った体につり上がった目のせいでね。毎日泣いて過ごしていたわ。でもイギリスに来て私の人生は180度変わった。ここではみんながオシャレを楽しむ権利があるの。どんなに挑戦的な服を着たりメイクをしたりしても、誰も私を見て笑ったりしない、『怪物』とも言ってこないわ」
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文=裵麗善/Ryoseon Bae

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