ビジネス

2020.01.17

「思いやり最強」説|SHOWROOM 前田裕二

SHOWROOMの代表取締役社長・前田裕二


2つめに、外資規制がある国は本当に難しいと思っています。また中国の話になりますが、FacebookやGoogleが排除されている現状を見ても、結局、中国で勝てるかどうかはかなりそこに依存してると思っていまして。外資規制の壁を超えて、それでも中国で成功するためには、多分1点目の優良なローカルパートナーを見つけて組むことが重要になるだろうと思ってます。

3つめには、意外な観点かもしれないんですけど、「宗教」が難しいと思ってます。例えばインドネシアでライブストリーミングプラットフォームを作ってマーケティングをしたいって相談をある人にした時に、「牧師さんを使うべきだ」って言われて。「牧師さんがインフルエンサーなんだ」と。何気にSNSで500万人くらいフォロワーがいたりして、インフルエンサーとして、自分の話した経典の中身をテープとかで売っていたりするんだよと言われて、え、そんな感じなんだ笑、と衝撃を受けました。

一方では、一緒にミーティングをしていた人が歩いていてツバを吐くから「何をしてるの?」って聞いたら、「ラマダンが始まったからだ」と。敬虔なムスリムの人ってツバも飲まないんですね、ラマダン中って。感覚がわからん、と。ユーザーと同じ肌の温度になれないマーケットで、本当に勝てるのか。宗教の違いが人の思考・行動様式の違いを大きくもたらす中で、無宗教国家の我々からすると、海外においては十分に想像力を働かせられない部分が多いことに課題を感じています。

ビジネスは結局「思いやり」を持った人が勝つ

結局、サービスの作り方のコツも、チームビルディングの話も一緒で、相手方に対してどれだけ想像力を持てるかだと思ってるんですよ。結論としては、結局精神論みたいになってしまって申し訳ないのですが、世の中は思いやりが全てだと思ってるんです。自分が相手だったら何が気持ちいいかなって考えるのは社内もそうだし、社外もそう。もちろんユーザーに対してもそうだし、多分恋愛においてもそう。人間関係はだいたいそうで。

だからITってテクノロジーっぽく見えて、実は人間の思いやりみたいな泥臭い、あったかい部分が一番重要な、極めて人間臭い事業分野だと思っています。だからこそ人間的に色々な経験をしている人が価値がある。テクノロジーがどうとかじゃないんです。

再現性高くITサービスを作って勝てる人っていうのは、他者への想像力とか思いやりのある人だろうなって思います。

その点、日本人こそ、そこは勝たなきゃダメでしょって思ってるんですよね。こんなにサービスに優れた国はどこにもないし。一歩先に回って相手の考えを予測して手を差し伸べてあげる文化って、世界的にも本当に誇れるものですから。

だから、結局ローカルパートナー探しの話に戻るんですけど、ローカルなユーザーへの想像力を持てる、信頼できるパートナーを見つけられれば、海外展開もきっとうまくやれると思ってます。

文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

ForbesBrandVoice

人気記事