先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

チートス・ミュージアム(Cheetos Museum)(動画より)

南仏カンヌで毎年行われている世界最高峰の広告およびマーケティング・コミュニケーションの祭典「カンヌライオンズ」。過去10数回現地を訪れ、審査員も務めた筆者が、広告やキャンペーンの実例を紐解きながら、先進コミュニケーション事例について解説していくシリーズの第5回目をお届けする。


広告と言えば、伝えたい内容を効果的に見せること。以前はそう信じられていた。

例えば、スナック菓子の広告であれば、楽しく食べるシーンを描き、カリッ、ポリッといった擬音にも凝って、とにかく「おいしく見える」CM作品をつくり上げようとしていた。

しかし、そういった広告表現に慣れ切った消費者は、いくら工夫しても反応しなくなる。そこで、まずは仕掛けを考えるというやり方が、さまざまにトライされ、成果を挙げてきている。

スーパーマンに似たチートスが約50万円

2017年のカンヌライオンズで、PR部門ゴールド他数多く受賞した「チートス・ミュージアム(Cheetos Museum)」。チートスとは、チーズ味が基本のスナック菓子だが、製法の関係で、1つとして同じ形がない。

そこで発売元のフリトレー社が考えた「仕掛け」は、リンカーンに似ているチートスとか、タツノオトシゴに似ているチートスなどを、消費者が投稿して展示するミュージアムをオンライン上に開設することだった。自分で見つけた「何かに似ているチートス」の写真を投稿して、そこに掲載され、週間ベストに選ばれると数10万円がもらえるのだ(10週間実施)。



消費者はこの「何かに似ているチートス探し」に熱狂し、12万7717もの投稿があったという。ほかにもギターに似たチートスやキリンみたいなチートス、自由の女神にそっくりなチートス、ナイキのマーク「スオッシュ」に見えなくもないチートスなどが続々と投稿された。さらにフリトレー社は、NYのグランドセントラル駅にリアルなミュージアムをつくり、展示も行った。

そうしているうちに、人々は世界最大のネットオークションサービスであるeBayで、これら「何かに似たチートス」の売り買いまで始めるようになった。例えば、「空を飛んでいるスーパーマン」に似たチートスが約50万円で売りに出されるなど、この間、チートスの売り上げも週間ベースで過去最高を記録したという。

文=佐藤達郎

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