絶滅寸前の種族を救った、ガラパゴスの「絶倫オスガメ」の偉業

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ガラパゴス諸島で暮らす「伝説の絶倫ガメ」として知られるのが、ディエゴという名前のオスのゾウガメだ。現在100歳を超えるディエゴは、研究者からあてがわれたメスとの交配を通じ子孫を大きく増やし、現地のエスパニョーラゾウガメを絶滅の危機から救った。

そのディエゴが、数十年の間続いた任務から引退することが発表された。交配プログラムを主導したガラパゴス国立公園は1月10日、プログラムが成功に終わり、カメの生息数を目標値まで回復できたと宣言した。現地のゾウガメは、19世紀ごろに捕鯨船や海賊が食糧として乱獲したことが原因で、生息数が激減していた。

大人のエスパニョーラゾウガメの生息数は、1974年にはわずか14頭となり、そのうちオスは2頭だけだった。その2年後に交配プログラムが始動し、3頭目のオスとしてサン・ディエゴ動物園から送り込まれたのが、後に絶倫ぶりを発揮するディエゴだった。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)の記事によると、その後、現地でのゾウガメの個体数は15頭から2000頭にまで増加したという。新たに生まれた子ガメの40%は、ディエゴの子供だったという。ディエゴよりも多くの子供をつくったE5と呼ばれるオスガメも居たが、ディエゴはアグレッシブな交配スタイルを持ち、そのカリスマ性で科学者たちから愛されたという。

40年間以上の任務を終えたディエゴは今後、生まれ故郷の島に戻り、余生を過ごすことになる。

研究チームは現在の個体数であれば、交配プログラム無しでもエスパニョーラゾウガメは、子孫を増やし続けることが可能だと判断したという。一時は絶滅の危機に瀕したカメの種族は一頭の絶倫のオスのおかげで、今後も繁栄を続けていけそうだ。

編集=上田裕資

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