ビジネス

2020.01.18

第2のテスラ目指す自動車業界の重鎮「フィスカー」の挑戦

Jeff Vespa/ Getty images

今から10年前、まだテスラがモデルSをヒットさせ、イーロン・マスクがビリオネアになる以前のEV業界では、デンマーク人の自動車デザイナー、ヘンリック・フィスカーが成功を収めると考えられていた。

フィスカーはBMWやアストンマーティンのデザイナーとして活躍した後、次世代自動車ベンチャーを設立。合衆国エネルギー庁から5億2800万ドル(約580億円)の低金利融資を受けるなど、多額の資金を確保していた。

しかし、彼が設立したプラグインハイブリッド車(PHEV)スタートアップは失敗に終わった。電池パックの供給停止や技術的な不具合に加え、ハリケーンで10万3000ドルの豪華PHEV車両「カルマ(KARMA)」約300台が輸送中に被害を受け、同社の経営は急激に悪化したのだ。同社は、2013年に経営破綻した。

しかし、2020年代に入ってフィスカーは復活を遂げ、ロサンゼルスに新会社「Fisker Inc.」を設立した。同社のEVは、スタイリッシュで手頃な価格のクロスオーバーSUVで、来年後半に量産に入る予定だ。同社は、リース契約を主体としテスラと同様にディーラーを介さない直販モデルを展開する予定だ。

フィスカーは先日、ラスベガスで開催されたCESで新型EV「Ocean」を発表した。価格は3万7499ドルで、ルーフ全面に太陽光パネルを搭載した環境問題を意識したコンセプトが売りだ。ベースモデルはメンテナンスとサービス費用を含め、月額379ドルでリースすることができる。トップエンドモデルの価格は、6万ドル以上となっている。

「我々は、2022年から2027年にかけて100万台以上を生産するための生産キャパシティを確保しており、来年量産を開始する」とフィスカーは述べた。彼は、生産拠点の所在地や、調達資金額については明らかにしていないが、3月に開催されるジュネーブ・モーターショーでパートナー企業などの詳細を明らかにすると述べた。
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編集=上田裕資

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