ビジネス

2020.01.16

ブランドオーナーとしての小嶋陽菜 「みんなから愛される努力をしない」

「Her lip to」のブランドオーナー 小嶋陽菜


鶴岡:みんなが好きなものを作らない…ということは、意図的に「広げない」工夫もされているのでしょうか?



小嶋:広げないというよりは、「コミュニティ感」を大切にしたいと思っていますね。もともとアパレルをやりたかったのではなく、自分の好きなものを共有できるコミュニティが欲しかったので、ファンの方との距離感は近くありたいなと。だから、YouTubeチャンネルも、わかりやすくマネタイズやスケーラビリティを目指すのではなく、自分の生活を映し出した「VLOG(ビデオブログ)」の形式を取っているんです。自分のことを知りたいと思ってくれる人たちに届けたいと思い、発信しています。

デジタルの延長線上としての「リアル店舗」

鶴岡:小嶋さんというとSNSのフォロワーが多い「インフルエンサー」のイメージが強いですが、Her lip toはポップアップストアなど、リアルな場にもかなり進出していますよね。SNSでの影響力を考えると、インターネット上でもストア運営はできそうだと感じてしまいますが…なぜリアル店舗も展開しているのでしょうか?

小嶋:ブランド立ち上げ当初は、ネット上のみの展開を考えていました。ですが一度、新宿の伊勢丹でポップアップストアを出店させていただく機会があって。そのとき、「実際に触ってみて買うことを決めた」「自分の体にあわないかもしれない不安が解消された」といった声を直接いただいき、この価格帯のアパレルブランドのリアル店舗の重要性を実感しました。オンラインが中心だからこそ、リアル店舗が重要な橋渡し役になってくれる。



Her lip toの購入層は30代の女性の方が多いのですが、若い世代に比べると実店舗での買い物を楽しみたいという方が多いことも特徴でした。また、Her lip toの価格帯は2万円代と、ネットだけの情報で買うには少しハードルが高い値段。リアル店舗で直接見ていただけて、試着もしてもらえることで、信頼関係を構築できる場所なのだと実感しています。

鶴岡:ブランド経営するなかで、お金やマネジメント、在庫管理など、アイドル時代には縁のなかった悩みが増えたのではないかと思います。そのなかで、小嶋さんがオーナーとして特に悩んだり、難しかったことはなんでしたか?

小嶋:今年はとにかく、新しいことにたくさん挑戦しましたね。メーカーさんとの打ち合わせに私一人で行って、めちゃめちゃ驚かれたこともありました(笑)。挑戦していく中で、どういう人たちにサービスを届けるべきなのか、それをどういう資本で、どんなチーム編成がベストなのかを試行錯誤していますが、今後の大きな課題ですね。
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文=半蔵門太郎 写真=まついあやね

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